かゝ)” の例文
旧字:
所が最後に一つ、今度はまだ十三四の弟子が、やはり地獄変の屏風の御かげで、云はゞ命にもかゝはりねない、恐ろしい目に出遇ひました。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
『だつて、校長先生、人の一生の名誉にかゝはるやうなことを、左様さう迂濶うくわつには喋舌しやべれないぢや有ませんか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
子の上にかゝき夢より醒めさふらひしは二三時の頃にさふらひけん、月あか水色みづいろの船室をてらり申しさふらひき。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
警察の手を以てのことの新聞へ出ない様に、百方奔走をしたんださうです、日本軍隊の威信と名誉にかゝはるからと云ふんでネ——実にしからんぢやありませんか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「愚図だ」とあにが又云つた。「不断ふだん人並ひとなみ以上にらずぐちを敲く癖に、いざと云ふ場合には、丸で唖の様にだまつてゐる。さうして、かげで親の名誉にかゝはる様な悪戯いたづらをしてゐる。 ...
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
お雪伯母は自分にはかゝはらずに始めようと伯父に勧めたが、伯父は縁喜えんぎをかついでかなかつた。どうせ時期を失したのだから、いつそのこと、年末の景気立つた頃の方がよからうと言つて居た。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
従来これまでのやうに只だいやだばかりでは済みませんよ、相手が名に負ふ松島様で、大洞様の御手をての御縁談で御座いますから、奥様は大洞と山木の両家の浮沈にかゝはることだから
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
世間せけんから云へば、これは男子の面目にかゝはる大事件だ。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
今はかく芸人の片端かたはしぢや、此頃の乱暴はうぢや、めひを売つて権門にへつらふと世間に言はれては、新俳優の名誉にかゝはるから、其方そちを取り戻すなどと、イヤ、飛んだ活劇をし居つたわイ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)