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かんちょう
ふりがな文庫
“
間諜
(
かんちょう
)” の例文
間諜
(
かんちょう
)
の老寺男が毎晩うずくまって
祈祷
(
きとう
)
の文句を鼻声でくり返しながら人をうかがってる場所と、その古ぼけたぼろとを借りうけた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「
要監視人
(
ようかんしにん
)
通告書」という紙が
載
(
の
)
っていて、そこに、「
間諜
(
かんちょう
)
フン大尉の件」という見出しのついていたのを、
目敏
(
めざと
)
く読みとった。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
という
間諜
(
かんちょう
)
の報らせが入った日、姫路の黒田宗円からも、それと同じ早打ちが来た。もう疑う余地もない出来事である。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それで近頃イギリスの官憲が
斯
(
こ
)
ういう独逸人を
間諜
(
かんちょう
)
じゃないのかと疑い出し、我が国の外務省も気兼ねをしながら、印度入りの旅券を下附してくれますが
褐色の求道
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
間諜
(
かんちょう
)
という奴は実に油断のならぬものです。まるで手品師ですからね。どんな小さな
隙間
(
すきま
)
からでも入って来るのです。そして忽ち諜報網を張りめぐらしてしまう。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
上方から
間諜
(
かんちょう
)
がこの上野の境内へ入り込んでいる、ドコにどういう奴が幾人入り込んでいるか、そのことはわからないが、その目的だけは、はっきりわかっている
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
H21というのが、ドイツの
間諜
(
かんちょう
)
細胞としての、マタ・アリの番号だった。彼女のとおり名だった。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
何事も心得ながら
白々
(
しらじら
)
しく無邪気を装っているらしいこの妹が敵の
間諜
(
かんちょう
)
のようにも思えた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
入り込んで来る
間諜
(
かんちょう
)
を警戒する際で、浪士側では容易にこの三人を信じなかった。その時応接に出たのは道中
掛
(
がか
)
りの
田村宇之助
(
たむらうのすけ
)
であったが、字之助は思いついたように尋ねた。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
惟
(
おも
)
うに彼が外国に航せんと欲したるは、種々の企謀ありしに相違なしといえども、その
重
(
おも
)
なる点は、則ち彼を知り己れを知るの意にして、以て一種の
間諜
(
かんちょう
)
たらんと欲したりしなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
仁科少佐を助けて、敵の
間諜
(
かんちょう
)
や密偵と闘って、いつも最後の勝利を獲得せしめている人は誰でしょうか。次の物語を読んで頂けば、きっと皆さんにお分りになって
貰
(
もら
)
えると思います。
計略二重戦:少年密偵
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
ほんとに人間の心の
間諜
(
かんちょう
)
なんてものが、みんなどこかへ消えてなくなりゃあいいんだ! さあ、これがおれとカテリーナ・イワーノヴナとのあいだにあった『事件』の全部なんだよ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
……ですから一生懸命に
隙
(
すき
)
を見つけて、白軍の方へ逃げ込んで来たのですが、それでもどこに赤軍の
間諜
(
かんちょう
)
が居るかわかりませんからスッカリ要心をして、口笛や鼻唄にも出しませんでしたが
死後の恋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「あいつがおれの思うこと一切を世間へ告げ散らしている、あの
兇鳥
(
まがどり
)
が……あいつはおれの臆病な敵の
間諜
(
かんちょう
)
だ……」彼にはまたしてもこの電流のようにすばやい
閃
(
ひらめ
)
きが
憫
(
あわ
)
れにも感じられて来た。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
ベービの
間諜
(
かんちょう
)
、灰、ザーミとの場面、謝肉祭、さし迫ってる恥辱。彼女はそんなことを話しながら、恐怖のあまり自分でこしらえ出した事柄と、当然恐るべき事柄とを、もう見分けがつかなかった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そしてまた、その男からいつも施しを受けている元寺男で今は
間諜
(
かんちょう
)
になってる
乞食
(
こじき
)
の
爺
(
じい
)
さんが、更にやや詳しい話をもたらした。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「不敵な東方の
間諜
(
かんちょう
)
! もはやもがいてものがれぬところだ、岩を噛んで飢うるよりは、いさぎよく死をうけろッ」
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
表面の辞令をいただかないお
目附
(
めつけ
)
だ、悪く言えば
間諜
(
かんちょう
)
、ペロで言えばスパイというやつかも知れないが、決して下等な仕事じゃない、柳生但馬もやれば、石川丈山もやった仕事なんだ
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
このつらい意識はすぐにまた倉地に響くようだった。倉地はともすると敵の
間諜
(
かんちょう
)
ではないかと疑うような険しい目で葉子をにらむようになった。そして
二人
(
ふたり
)
の間にはまた一つの
溝
(
みぞ
)
がふえた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
実はその
間諜
(
かんちょう
)
一味は××人なのである。
間諜座事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「それは御免こうむります、市長殿。そんなことはあり得べからざることです。市長が
間諜
(
かんちょう
)
に向かって握手を与えるなどということが。」
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「いや、そんなはずはない。たしかにあやしい男と
老婆
(
ろうば
)
とが、
密談
(
みつだん
)
いたしていたのを、
間諜
(
かんちょう
)
の者が見とどけたとある。この上は自身であらためてくれる」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
間諜
(
かんちょう
)
を銃殺し、反逆者を処刑し、生ける者を捕えて未知の暗黒界に投げ込む。死を使用する。そしてこれは重大なことである。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「おお、そちは番小屋の燕作、さてはなんぞ、伊那丸がたの
間諜
(
かんちょう
)
でも、立ちまわってきたと申すか」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一の虚言をもなし得ないこの
間諜
(
かんちょう
)
、この純粋
無垢
(
むく
)
な
探偵
(
たんてい
)
を、長い間研究しており、更にまたマドレーヌ氏に対する彼の昔からのひそかな反感や
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「ウム、いつも
間諜
(
かんちょう
)
の
役
(
やく
)
は竹童の
得意
(
とくい
)
、おまかしなされてはどうでござりましょう」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
無慈悲な
間諜
(
かんちょう
)
であり、恐るべき正直さであり、冷酷なる探偵であり、名探偵ヴィドックのうちに住むブルツスであった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「むろん、米沢あたりにも、一人や二人の
間諜
(
かんちょう
)
は。——これも、尽きぬ御縁」
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夜が明くるにおよんで、彼は
怜悧
(
れいり
)
な二人の手下を残して見張りをさせ、あたかも盗人に捕えられた
間諜
(
かんちょう
)
のように恥じ入って、警視庁へ引き上げた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
で——今の勤番者が、千坂の
間諜
(
かんちょう
)
であることもよく見え透いていた。辻咄の徳西だの、木村丈八などという曲者が、そこらで、自分のことばや挙動を見ているなという程のことも察せられた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
rascal, rascalion(卑劣漢)—— raille,
間諜
(
かんちょう
)
。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「阿波へ入りこもうとする江戸の
間諜
(
かんちょう
)
! すなおに吾々と同行しろッ!」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
間諜
(
かんちょう
)
ッ。敵の間諜。——もう逃げられはせんぞ。
醜
(
みぐる
)
しいざまは止せ」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さては、法然にいいふくめられわれらの動静を
間諜
(
かんちょう
)
しにうせたな」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
間諜
(
かんちょう
)
だな、この野郎」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
諜
漢検準1級
部首:⾔
16画
“間諜”で始まる語句
間諜座
間諜僧
間諜団
間諜犬
間諜者
間諜船舶
間諜間者