酒盛さかもり)” の例文
させおのれら我意がいまかせて退出後たいしゆつごにゆる/\休足きうそく酒盛さかもりなどして夜に入て評定ひやうぢやうし又もなかれてかへすなとよく/\舜帝しゆんていの御心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「ヘイ・レインやあのあたりの野原には、今はもう彼等の跡かたもありません。夏、秋、冬の月夜にも、今はもう妖精フェリアたちの酒盛さかもりはないと思ひます。」
近寄ってみると、五人の老爺ろうやが、むしろをひいて酒盛さかもりをしていた。狐火は、沼の岸の柳の枝にぶらさげた三個の燈籠であった。運動会の日の丸の燈籠である。
懶惰の歌留多 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ここで二人は水入らずの酒盛さかもりをはじめる。主膳の機嫌は全く直って、調子よく竜之助に酌をしてやりながら
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その後まもなく、その播磨はりまの国へ、山部連小楯やまべのむらじおだてという人が国造くにのみやつこになって行きました。するとその地方の志自牟しじむという者が新築しんちくしたおうちでお酒盛さかもりをしました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
可悲かなしい、可恐おそろしい、滅亡めつばう運命うんめいが、ひとたちのに、暴風雨あらしつて、天地てんちとともに崩掛くづれかゝらうとするまへよる、……かぜはよし、なぎはよし……船出ふなでいはひに酒盛さかもりしたあと、船中せんちうのこらず
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
十六人の女たちは、すぐに彼を取りまいて、こう云う山の中にも似合わない、陽気な酒盛さかもりを開き始めた。彼は始はおしのように、ただすすめられる盃を一息にぐいぐい飲み干していた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
やがて、たいをかしらに、かつおだの、ふぐだの、えびだの、たこだの、大小いろいろのおさかなが、めずらしいごちそうを山とはこんできて、にぎやかなお酒盛さかもりがはじまりました。
浦島太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しかし、むつまじい父子おやこ酒盛さかもりは、やがてその寒気も忘れさせていた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そう言って、皆は鎮守のやしろで御礼の酒盛さかもりをしました。
ひでり狐 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
それについで天皇も楽しくお歌をお歌いになり、みんなでにぎやかにお酒盛さかもりをなさいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
すると天皇は、まもなくお酒盛さかもりのお席へ大雀命おおささぎのみことをお召しになりました。そして、美しい髪長媛かみながひめにお酒をつぐかしわの葉をお持たせになって、そのままみことにおくだしになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)