退引のつぴき)” の例文
たま退引のつぴきならぬ義理で、日本座敷の宴会に招かれると、博士は二三杯の酒で紅茸べにたけのやうにあかくなつた顔をにこにこさせながら
事理の徹つた退引のつぴきならぬ青年の問に、母が何と答へるか、美奈子は胸を顫はしながら待つてゐた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
岡つ引風情にう丁寧な挨拶をするのは、いづれ退引のつぴきならぬ頼みがあつてのことでせう。
知たる我ゆゑ退引のつぴきならず四五十兩位の金をかすちがひ無しと目的みこみをつけ夫より藤澤宿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なにもいざこざはない、はなしかへつててゆつくりするが、これからぐに筑波山つくばさん參詣さんけいだ。友達ともだち附合つきあひでな、退引のつぴきならないで出掛でかけるんだが、おあきさん、おまへ呼出よびだしたのはほかことぢやない、路用ろようところだ。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
平次は八五郎の後ろから、穩かな調子で——が退引のつぴきならぬ問ひを投げかけました。
も達し家主の身に取ても然樣さやうなることのしれし上は打捨うちすてては役儀もすまざること故夫々に手配てくばりなし御番所へ願ひ出るにより此時の證據人に相違さうゐ無く御立下たちくだされよとお光倶々とも/″\退引のつぴきさせぬ理詰りづめだんじに忠兵衞は暫時しばしもの
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
平次は妙なことを——だが、退引のつぴきさせずに言ひ出すのです。
扨又番頭久兵衞は今日文右衞門の一件にて五兵衞始め一どう呼出よびいだされしゆゑ流石さすが惡黨あくたう如何いかゞ成行なりゆくやとひそかに心配なし居たる折柄はからず後藤半四郎入り來り退引のつぴきさせずお秀の離縁状はとられる事になりしかば若旦那五郎藏歸り來らば早々離縁状を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
平次は退引のつぴきさせずに追究しました。