辞義じぎ)” の例文
旧字:辭義
それでも風俗ふうのかはつたかた被入いらつしやいますと、大事だいじにしてお辞義じぎをすることだけはつてゞございますが、御挨拶ごあいさつをいたしませんね。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御免なされとふすま越しのやさしき声に胸ときめき、かけた欠伸あくびを半分みて何とも知れぬ返辞をすれば、唐紙からかみする/\と開き丁寧ていねい辞義じぎして
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ぽっとかつらをかぶった故人菊五郎の与次郎が、本物の猿を廻わしあぐんで、長いつえで、それ立つのだ、それ辞義じぎだと、が物好きから舞台面の大切たいせつな情味を散々に打壊ぶちこわして居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
学士がくしですのなんのと云ツたところ味噌摺みそすりはふらずお辞義じぎ礼式れいしきじゆくせざれば何処どこいつてもけいしてとほざけらる〻が結局おちにてだしもけいさるゝだけをとくにしてめてもの大出来おほできといふべし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
このあひだたれかと二三にんづれで、学校がくかうのお師匠しゝやうさんが、うちまへとほつて、わたしかほたから、丁寧ていねいにお辞義じぎをすると、おや、といつたきりで、橋銭はしせんかないでつてしまつた。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それ御覧ごらんなさいまし、お辞義じぎひとツいたしますさい、あのとほり大儀たいぎらしい。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)