足柄山あしがらやま)” の例文
むかし、金太郎きんたろうというつよ子供こどもがありました。相模国さがみのくに足柄山あしがらやま山奥やまおくまれて、おかあさんの山うばといっしょにくらしていました。
金太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
その糸はいくら使っても尽きることがないともいいました。また山姥が子を育てるという話も、決して足柄山あしがらやまの金太郎ばかりではありません。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そのお途中で、足柄山あしがらやまの坂の下で、お食事をなすっておいでになりますと、その坂の神が、白いしかに姿をかえて現われて、命を見つめてつっ立っておりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
が、翌日の彼らはもう酒匂さかわの上流を折れて足柄山あしがらやまにかかっているのを知っていた。——やがて地蔵堂を金時山きんときやまの北を峠越えに出ると、南へのぞむすぐ目のさきに
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
富士の裾野すそのを経、足柄山あしがらやまを越え、大磯おおいそを過ぎて、いつしか一行は、鎌倉に入ったのであった。
手織木綿もめんの半裸、縄の帯、膝っ小僧を出して、馬の草鞋わらじのようなでっかい草鞋をはいて、足柄山あしがらやまの金太郎を世話に崩したような少年のくせに、んと言う恐しい口でしょう。
大江戸黄金狂 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
大江山おおえやまの鬼が食べたいとおっしゃる方があるなら、大江山の鬼を酢味噌すみそにして差し上げます。足柄山あしがらやまくまがお入用いりようだとあれば、ぐここで足柄山の熊をおわんにして差し上げます……
梨の実 (新字新仮名) / 小山内薫(著)
これは、ついこの隣りから、同じ間の山へむしろを敷く「足柄山あしがらやま」の子供でありました。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
頼光らいこう足柄山あしがらやまから山姥のを連れて来たと云うのが実説ならば、の金太郎と云うのは即ち山𤢖の一人いちにんで、文明の教育を受けた結果、後に坂田金時さかたのきんときという立派な勇士になったのだろう。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「やあ、金時きんとき足柄山あしがらやま、えらいぞ金太郎きんたらう。」と三助さんすけが、んで
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
足柄山あしがらやま
歌時計:童謡集 (旧字旧仮名) / 水谷まさる(著)
『万葉集』にもある足柄山あしがらやまのトブサなどと多分一つの語であり、種俵たねだわらの前後に取りつける桟俵さんだわらも同様に、本来は物のとうとさを標示する一種の徽章きしょうであったかと思われる。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
とは、鞍馬にいた頃から、また、足柄山あしがらやま奥州みちのくへ越えてゆく頃から——それからの長い年月のあいだも、義経の胸にたえずかもされていた血液的な思慕だった。尊い珠玉だった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
足柄山あしがらやまおくで、こんな子供こどもつけてまいりました。」
金太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)