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赧
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あから
ふりがな文庫
“
赧
(
あから
)” の例文
琅玉はポッと顔を
赧
(
あから
)
め急に狼狽しはじめた。しかし彼女は次の瞬間には女官らしく威厳を取り返えし此様に
徐
(
おもむ
)
ろに云うのであった。
喇嘛の行衛
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
思いも寄らぬ人の訪問と、思いもかけぬ贈り物にびっくりして、当惑したように顔を
赧
(
あから
)
めて、モジモジしながら手を動かしている。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
女は顔を
赧
(
あから
)
めたが、抱へて来た包の中から、一枚の綿入を出した。新しくはないが、綺魔に洗ひ、縫ひ畳んだ綿入を……。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「いいじゃありませんか。もう
極
(
きまり
)
のわりいお年でもないでしょう」おゆうは顔を
赧
(
あから
)
めながら言って、二人を見比べた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
然し、楠本は平然として、
赧
(
あから
)
みながら逃げ失せにけり/\などと言つてゐる。波子は立腹し、扉に鍵をかけて、散歩にでかけてしまつたことがあつた。
波子
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
似合
(
たと
)
い議論すればと
云
(
いっ
)
ても、ほんとうに顔を
赧
(
あから
)
めて
如何
(
どう
)
あっても勝たなければならぬと云う議論をしたことはない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「だツて
極
(
きまり
)
が惡いんですもの………」と
嘘
(
うそ
)
でない
證據
(
しようこ
)
といふやうに顏を
赧
(
あから
)
め、「
男
(
をとこ
)
の
方
(
かた
)
ツてものは、他の事を其様に
根堀
(
ねほ
)
り
葉堀
(
はほ
)
りなさるもんじやないわ。」
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
その青年に、つい目と鼻の位置に
坐
(
すわ
)
られると、美奈子は顔を
赧
(
あから
)
めて、じっと
俯
(
うつ
)
むいてしまう女だった。が、心の
裡
(
うち
)
では思った、何と
云
(
い
)
う不思議な
偶然
(
チャンス
)
だろう。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
『濟まなかつたわ。』と何氣なく言つたが、一寸目の
遣場
(
やりば
)
困つた。そして、
微笑
(
ほゝえ
)
んでる樣な靜子の目と見合せると色には出なかつたが、ポッと顏の
赧
(
あから
)
むを覺えた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「へへッだ! ——だって、啓ちゃんは動物園へ連れてってやっても、猿同士がおんぶしあってる事ちゃんと識ってて、顔を
赧
(
あから
)
めるンですもの、もう天真じゃないわよ」
泣虫小僧
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
かく言いつつ珍しげに女の
面
(
おもて
)
を
覰
(
のぞ
)
きぬ。白糸はさっと
赧
(
あから
)
む顔を
背
(
そむ
)
けつつ
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眼のやり場にうろたえながら顔を
赧
(
あから
)
めている女の様子に、弦之丞は初めて注意するのであった。しかしその
身装
(
みなり
)
や
肌合
(
はだあい
)
は、どうみても、この辺の者らしくなく、江戸の下町に見馴れたつくりである。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女は単純に顔を
赧
(
あから
)
めた。
温度
(新字旧仮名)
/
原民喜
(著)
「カッチ語という言葉はまことに非文明な言葉で、話すことはできますけれど文字というものがないのです」と
羞
(
は
)
ずかしそうに顔を
赧
(
あから
)
められた。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「どうか又御心配下さるように……この上御心配かけては申訳がありませんけれど」と芳子は縋るようにして顔を
赧
(
あから
)
めた。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「どうせそうでしょうよ、これは私のお土産ですもの」お島は不快な気持に顔を
赧
(
あから
)
めた。「でも
笑談
(
じょうだん
)
にもそういわれると、厭なものね。子供が可哀そうのようで」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
おふくろは
色消
(
いろけ
)
しに
包
(
つつ
)
むで置くべきボロまで管はずぶちまけと、お房は
遉
(
さすが
)
に顏を
赧
(
あから
)
めて注意を加へた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
しかし黙って
俯向
(
うつむ
)
いたまま、顔を
赧
(
あから
)
めては居りました。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ゆき子は突然だつたので顔を
赧
(
あから
)
めた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
かう言つた女はまた顔を
赧
(
あから
)
めた。かれは深く心を動かされずには居られなかつた。かれは
凝
(
ぢつ
)
と女を見詰めた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
そして初めて彼女は、羞ずかしそうに頬を
赧
(
あから
)
めて、溶けんばかりの
靨
(
えくぼ
)
を
泛
(
うか
)
べながら私の方を見上げました。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「どうしてさ」姉は
這
(
は
)
っている子供に、乳房を出して見せながら、汗ばんだ顔を
赧
(
あから
)
めた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
赧
漢検1級
部首:⾚
12画
“赧”を含む語句
真赧
赧然
赧顔
赧黒
愧赧
打赧
眞赧
薄赧
赧々
赧羞
赧茶