護摩壇ごまだん)” の例文
護摩壇ごまだんも、天井裏も、床下も、押入も、一刻(二時間)ばかりで見尽しましたが、竹筒はおろか、小判のかけらも見付かりません。
護摩壇ごまだん垢離場こりば、懺悔の部屋、小さい無数の礼拝所、数限りない石祠等、広い境内の到る所に、隙間もなく建てられてある。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
峯の阿闍利あじゃりさまはそのたびにわたくし一家のために護摩壇ごまだんに坐りながら、一年の災厄を除いてくださるのでございます。
あじゃり (新字新仮名) / 室生犀星(著)
それがお豊と同じ時刻に水を浴びて、護摩壇ごまだんへ戻る時に、ちょうど、この「清姫の帯」を見たのであります。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
本堂の方は、蜘蛛が巣をはって、それが仏像と仏像との間いちめんにかかり、燕の糞が護摩壇ごまだんをうずめて、方丈も廊房もすべていいようのないくらいものすごく荒れはてている。
護摩壇ごまだんむかつて、ひげかみおどろに、はりごと逆立さかだち、あばらぼねしろく、いき黒煙くろけむりなかに、夜叉やしや羅刹らせつんで、逆法ぎやくはふしゆする呪詛のろひそう挙動ふるまいにはべくもない、が、われながらぎんなべで、ものを
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
人に語るもおそれありと、焼き捨てようと考えたが、屋敷ではつい人目があって果せず、父の忌日きじつに、寺へ持って行って、ひそかに処置を託したところ、寺ではまさしく護摩壇ごまだんで焔にしてはくれたが
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
護摩壇ごまだんも、天井裏も、床下も、押入れも一刻ばかりで見盡しましたが、竹筒はおろか、小判の片らも見付かりません。
昨夜のあの護摩壇ごまだんへ行こうとして大師堂の傍まで来たのであったが、不意に火事よという声で振返って見ると、すぐ眼の下の、室町屋のあたりから黒煙がうずをまく。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
護摩壇ごまだん懺悔ざんげに行くものは、きっとここの滝へ来て、まず水垢離みずごりをとるのが習わしでありました。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
九尺四方白木しらきの道場の正面には、不動明王の御像を掛けさせ護摩壇ごまだんゑ、燈明とうみやう供物くもつを並べ、中程のところに東海坊、白衣に袈裟けさを掛け、散らし髮に兜巾ときんを戴き、揉みに揉んで祈るのです。
九尺四方白木しらきの道場の正面には、不動明王の御像を掛けさせ護摩壇ごまだんえ、灯明とうみょう供物くもつを並べ、中ほどのところに東海坊、白衣に袈裟けさを掛け、散らし髪に兜巾ときんを戴き、みに揉んで祈るのです。
「さすがは親分だ。あつしは地獄の三丁目かと思ひましたよ。どうかしたら、閻魔の屋敷の雪隱せつちんの床下かも知れないと思つて這ひ出すと、眼の前に燃え殘りの護摩壇ごまだんが見えるぢやありませんか」
「さすがは親分だ。あっしは地獄の三丁目かと思いましたよ。どうかしたら、閻魔えんまの屋敷の雪隠せっちんの床下かも知れないと思ってい出すと、眼の前に燃え残りの護摩壇ごまだんが見えるじゃありませんか」
「下手人は門前町の文七に違ひありませんよ、親分。あの日道灌山へ行つてゐたことは皆んな知つてゐるし、護摩壇ごまだんの下に拔け穴のあつたことも、前から知つて居たつて本人が言ふさうですよ」