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諍
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あらそ
ふりがな文庫
“
諍
(
あらそ
)” の例文
のちに
諍
(
あらそ
)
いのたねになった娘のことで、私がひどく怒り、三人でなにかしていたのを放りだして、私だけさっさとそこをたち去りました
橋の下
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼女はもうジューシエとの
諍
(
あらそ
)
いのほうへ心を取られていた。ただオリヴィエ一人がエマニュエルの当惑に気づいた。そしてその様子を見守った。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
人間は或は現実を唱へ、或は夢想を
称
(
とな
)
へて、之を以て調和す可からざる原素の如く
諍
(
あらそ
)
へる間に、天地の幽奥は依然として大なる現実として残れり。
一夕観
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
然し要するに自他を傷つくる爆弾であった事も
諍
(
あらそ
)
えません。早速妻が瀕死の大病に
罹
(
かか
)
り、四ヶ月を病院に送りました。生命を取りとめたが不思議です。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
二人ともに
諍
(
あらそ
)
うに断決する能わず、黙然として言なく〉、
譬
(
たと
)
えば、白羊、人の殺すに至っても声を
作
(
な
)
す能わざるがごとし、これを唖羊僧と名づくとある。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
母親と大きな声でいい
諍
(
あらそ
)
ったりするのを見かねて、もう七十余りにもなる主人の母親というのが双方の仲に入って、ちょっと口を利きかけていたのであった。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「駄目です」と私は気が立っていたから言下に
一喝
(
いっかつ
)
した。「もうこの
諍
(
あらそ
)
いはあなた方の諍いではありません。私とあの会社との諍いです。私は重大な侮辱を受けた。 ...
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
二人は真実に愛し合っている癖に、始終
諍
(
あらそ
)
いばかりしていました。が、さてあの人はもうこの世にいないと思うと、この先どうして生きて行っていいか分らなくなります。
情鬼
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
怒り
諍
(
あらそ
)
ひて其心に逆ふべからず。女は夫を以て天とす。
返々
(
かえすがえす
)
も夫に逆ひて天の罰を受べからず。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
諍
(
あらそ
)
えば諍うほど、お増は自分を離れて行く男の心の冷たい
脈摶
(
みゃくはく
)
に触れるのが腹立たしかった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
と、健は、
然
(
さ
)
うして
擦
(
す
)
つた
揉
(
も
)
んだと果しなく
諍
(
あらそ
)
つてるのが、——校長の困り切つてるのが、何だか面白くなつて来た。そして、ツと立つて、解職願を
再
(
また
)
校長の卓に持つて行つた。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と云い、乙女が思わずかっとなって
諍
(
あらそ
)
った。そのことを云っているのであった。
小祝の一家
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
と川柳子も
諷刺
(
ふうし
)
しておりますが、いたずらに私どもは、自力だ、他力だ、などという「宗論」の
諍
(
あらそ
)
いに、貴重な時間を浪費せずして、どこまでも自分に縁のある教えによって、その教えのままに
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
はじめ席次の
諍
(
あらそ
)
いがあったとき、罪科の申渡しをしたのは主水であり、七十郎を同伴して出頭せよ、という旨を命じたのも彼であった。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
恐るべき
姪
(
めい
)
の激しい挑戦を引き起こすような
危
(
あぶな
)
い
真似
(
まね
)
はしなかった。かくもよく回る舌を相手に
諍
(
あらそ
)
うことはとうていできなかった。何よりも彼は平穏を欲していた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
磯貝は悪く気を廻していたが、銀子も立ちながら
諍
(
あらそ
)
ってもいられず、一緒に
還
(
かえ
)
ることにした。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
さもなければこの人たち同士の間で
諍
(
あらそ
)
いでも始まったのではなかろうかと怪しんでいた。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
話が
途斷
(
とぎ
)
れると、ザザーッといふ浪の音が、急に高くなる。楠野君は、二人の
諍
(
あらそ
)
ひを聞くでもなく聞かぬでもなく、横になつた儘で、紙莨を吹かし乍ら、浪の穗頭を見渡して居る。
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
之を慎しむは男子第一の
務
(
つとめ
)
なる可し。又夫の教訓あらば其命に背く可らず、疑わしきことは夫に問うて其下知に従う可し、夫若し怒るときは恐れて之に従い、
諍
(
あらそ
)
うて其心に逆う可らずと言う。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「始終親子でいい
諍
(
あらそ
)
いすることのあるのは、私もよく見て知っていますが、その口喧嘩のしぶりから見ると、どうも真実の母子でなかったら、ああではあるまいかと思われることもあります」
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
会談が終って、出ようとしたとき、小屋の表で、真山刑部と里見十左衛門とが、人夫頭と見える男たち五人と、こわだかに云い
諍
(
あらそ
)
っていた。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
話が
間断
(
とぎ
)
れると、ザザーツといふ浪の音が、急に高くなる。楠野君は、二人の
諍
(
あらそ
)
ひを聞くでもなく、聞かぬでもなく、横になツた儘で、紙莨を吹かし乍ら、浪の穂頭を見渡して居る。
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
人々の邪悪さと運命の酷薄さとの間にありながら、善良でありいつまでも善良であること……多くの
苦々
(
にがにが
)
しい
諍
(
あらそ
)
いのうちにも温和と親切とを失わず、その内心の宝に触れさせずに経験を
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
これは早く帰属をきめておかぬと、やがて
諍
(
あらそ
)
いのもとになると思う、と志摩が云った。柴田外記は黙っていた。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その酒宴なかばに、主人主馬と南部八郎太の間に
諍
(
あらそ
)
いが起ったが、止める人があって何事もなく過ぎ、やがて酒宴も終って四つ上刻、人々は梁川邸を辞した。
だだら団兵衛
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
竹次といくとが激しくいい
諍
(
あらそ
)
っているのを見た……菊千代は独りで、森から丘へぬけて、知らない山道を下りて来ると、偶然かれらの田の脇へ出たのである。
菊千代抄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「まあなんだ、三十まじゃあがまんするだね、嫁っ子を貰うも、出世をするもよ、……おめえの顔にそう出てえるだ、これあへえ
諍
(
あらそ
)
えねえこんだからねえ、そうすれあ……」
百足ちがい
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一ノ関の
利分
(
りぶん
)
になるよう裁決した、涌谷と寺池(式部宗倫)との地境の
諍
(
あらそ
)
いも、両後見に対する六カ条の問題でも、貴方がどういう態度に出るかわかっている、ということです
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それまで曾て口にしたことがないので、左内は初めなんのことか分らないようすだったが、香苗があの時の
諍
(
あらそ
)
いを見ていたのだと語ると、
遽
(
にわ
)
かにその頬を染めながら眼を
外
(
そ
)
らした。
城中の霜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
武家のなかでも、かたちこそ違うが、権力や名声のための、醜い
諍
(
あらそ
)
いが絶えないし、もっとも多数の、身分の低い者たちは、侍として最低の外聞を保つことにさえ、苦しんでいた。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
自分の持ち地所と接する到るところで地境の
諍
(
あらそ
)
いを起こした。
月の松山
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「一ノ関と岩沼に対する六カ条の件、一ノ関領における
金山
(
きんざん
)
所属の問題、こんどはまた涌谷と寺池のあいだに地境の
諍
(
あらそ
)
いが起こっています、これらも重要だが、家中には奥山どの弾劾の気運が、相当ひろく動きだしているようですが」
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
諍
漢検1級
部首:⾔
15画
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闘諍
諍論
諍闘
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口諍
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諍議
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