言種いいぐさ)” の例文
養父ちちおやの方が可愛がって片時も離さないとこういう言種いいぐさでね。……父も祖母も、あれにあたられると思うから、相当に待遇するでしょう。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
然しかやうな言種いいぐさは映画を徒然のなぐさみに読む絵草紙然たるものとしての見解で(私はそのやうな意味でのみ映画を見がちなものですから)
女占師の前にて (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
「お前の言種いいぐさではないが、この寒空に、洒落や冗談で五重塔の天辺で徹夜など出来るものか。夜更けに小雪が降り出して、えらい難儀をした」
平賀源内捕物帳:萩寺の女 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「勿論、久しく煩いましても可厭いや言種いいぐさだが、とにかくだ、寝ているからおいで下すっても失礼します、いずれそのうち、ご挨拶だ。」
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
虫がいい、といふ言種いいぐさも、このへんのところへ来ると荘厳にさへ見えるから愉快である。
枯淡の風格を排す (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
「久振じゃないじゃありませんか。今の言種いいぐさは何です、ありゃ。……姉さんにお気の毒で、そばで聞いていられやしない。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
虫がいいという言種いいぐさも、このへんのところへ来ると荘厳にさえ見えるから愉快である。
枯淡の風格を排す (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
先刻さっきどうした、牛込見附でどうしたよ。慌てやあがって、言種いいぐさもあろうに、(女中が寝ていますと失礼ですから。)と駈出した、あれは何のざまだ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこはお前さんに免じてかんの虫をおさえつけた。翌日あくるひも廻ったがね、今度は言種いいぐさがなお気に食わねえ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
遊君おいらんが綺麗で柔順おとなしくって持てさいすりゃ言種いいぐさはないんじゃないか。遅いや、ね、お前さん。」
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ちょいと道具を持って来てひげだけあたってくんなよ、と言種いいぐさが横柄な上、かねて売れたがまえ顔色がんしょくを癪に障らしていた、稲荷いなりさんの紋三もんざ、人を馬鹿にすンな、内に昼寝をしてる処へ
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すったもんだとねかえしたが、言種いいぐさが気に入ったい、総勢二十一人というのが昨日きのうのこッた、竹の皮包の腰兵糧でもって巣鴨すがもの養育院というのに出かけて、ほどこしのちょきちょきをってさ
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
唱えて進ぜなせえは聞えたけれど、おめえ言種いいぐさに事を欠いて、わしとこをかかりあいは、おおきに打てらあ。いや、もうてっきり疑いなし、毛頭違いなし、お旗本のお嬢さん、どうしてたまるものか。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
どうです言種いいぐさは、前かど博徒ばくちうち人殺ひとごろし兇状持きょうじょうもち挨拶あいさつというもんです。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何とかいったな、あの言種いいぐさは。——宴会前で腹のすいた野原のっぱらでは、見るからにつばを飲まざるを得ない。薄皮で、肉充満いっぱいという白いのが、めかけだろう、妾に違いない。あの、とろりと色気のある工合がよ。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
するなッて事よ、何もはにかもうッて年紀としじゃあねえ。落語家はなしか言種いいぐさじゃあねえが、なぜ帰宅かえりが遅いんだッて言われりゃあ、奴が留めますもんですから、なんてッたような度胸があるんじゃあねえか。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「何だい、その言種いいぐさは、活動写真のかい、おい。」
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
向うの縁側のその殿——とは言種いいぐさがどうだい。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
言種いいぐさしゃくに障るじゃありませんか。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかし言種いいぐさが変だから
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
余り言種いいぐさ自棄やけだから
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)