襟卷えりまき)” の例文
新字:襟巻
このあめあがつて、日脚ひあしがさつとちや障子しやうじしたとき御米およね不斷着ふだんぎうへへ、めういろ肩掛かたかけとも、襟卷えりまきともかない織物おりものまとつてそとた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
母親はゝおやは五十ばかり、黒地くろぢのコートに目立めだたない襟卷えりまきして、質素じみ服姿みなりだけれど、ゆつたりとしてしか氣輕きがるさうな風采とりなり
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小娘こむすめ何時いつかもうわたくしまへせきかへつて、不相變あひかはらずひびだらけのほほ萌黄色もえぎいろ毛絲けいと襟卷えりまきうづめながら、おおきな風呂敷包ふろしきづつみをかかへたに、しつかりと三とう切符ぎつぷにぎつてゐる。……
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しかもあかじみた萌黄色もえぎいろ毛絲けいと襟卷えりまきがだらりとさがつたひざうへには、おほきな風呂敷包ふろしきづつみがあつた。そのまたつつみをいた霜燒しもやけのなかには、三とう赤切符あかぎつぷ大事だいじさうにしつかりにぎられてゐた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)