表店おもてだな)” の例文
今にあれはえらい人になると云っていたが、十指じっしの指さす処鑑定めがねは違わず、実に君は大した表店おもてだなを張り、立派な事におなりなすったなア
引出し終に表店おもてだなへ出てなりに暮し一度は流行りうかうしけれども元よりおのれに覺えなきわざなれば終には此處の内儀ないぎが藥違ひにて殺されたの彼所の息子むすこ見立違みたてちがひにて苦しみしに
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
段々に喰べへらして天秤まで賣る仕義になれば、表店おもてだな活計くらしたちがたく、月五十錢の裏屋に人目の恥を厭ふべき身ならず、又時節が有らばとて引越しも無慘や車に乘するは病人ばかり
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
表店おもてだなの沢屋を没落させようとしたのだが、沢屋の主人がそれを見抜き、表沙汰にして浅田屋を取って押えようとしたのだ、悪事は働いたが、始末がいけなくなって、浅田屋はあの騒ぎに眼をつけ
しょせん一軒の表店おもてだなを張るなどは思いもよらないことであった。
放し鰻 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
表店おもてだなを立派に張って居ても内々ない/\は一両の銭に困る事もあるものだ、百両くれろと云っても、そんなにわっちはおめえさんにお恵みをする縁がねえ
段々に喰べへらして天秤てんびんまで売る仕義になれば、表店おもてだな活計くらしたちがたく、月五十銭の裏屋に人目の恥をいとふべき身ならず、又時節が有らばとて引越しも無惨むざんや車に乗するは病人ばかり
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
渡世にする新藤市之丞と申者のたくは御存じなきやととふに此町内には御用の屑買は御座らぬなどと云て大いにわらはれければ大橋もいま是非無ぜひなく尋厭倦たづねあぐみて下谷山崎町の我家へ歸りさても/\こまりし事也馬喰町へ行て表店おもてだな
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
伴「なッてえ/\、これ四けん間口の表店おもてだなを張っている荒物屋の旦那だア、一人二人の色が有ったってなんでえ、男の働きで当前あたりめえだ、わけえもんじゃあるめえし、嫉妬やきもちを焼くなえ」
段々だん/\べへらして天秤てんびんまで仕義しぎになれば、表店おもてだな活計くらしたちがたく、つき五十せん裏屋うらや人目ひとめはぢいとふべきならず、また時節じせつらばとて引越ひきこしも無慘むざんくるまするは病人びやうほんばかり
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)