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草鞋穿
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わらじば
ふりがな文庫
“
草鞋穿
(
わらじば
)” の例文
この大島高次郎という人は、若い時から
草鞋穿
(
わらじば
)
きで
叩
(
たた
)
き上げたほどな人ですから、なかなか
確
(
しっ
)
かりした人物でありました。
幕末維新懐古談:37 鋳物の仕事をしたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
よく使い込んである九尺
柄
(
え
)
の槍を杖にしてである、背に
鎧櫃
(
よろいびつ
)
を負い、
袴
(
はかま
)
の
股立
(
ももだち
)
を高くからげて
草鞋穿
(
わらじば
)
きの浪人者が昨日もここの長屋門を訪れた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やりかけておりました
蒸籠
(
せいろ
)
の
修繕
(
つくろい
)
を片づけまして、煙草を一服吸うてから
草鞋穿
(
わらじば
)
きのまま出かけましたのが、かれこれ四時頃で御座いましつろうか。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
心覚えが、その
折曲
(
おれまがり
)
の処まで、店口から掛けて、以前、上下の
草鞋穿
(
わらじば
)
きが休んだ処で、それから先は車を下りた上客が、
毛氈
(
もうせん
)
の上へあがった場処です。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
向うの
床几
(
しょうぎ
)
には二人かけている。等しく
草鞋穿
(
わらじば
)
きで、一人は
赤毛布
(
あかげっと
)
、一人は
千草色
(
ちくさいろ
)
の
股引
(
ももひき
)
の
膝頭
(
ひざがしら
)
に
継布
(
つぎ
)
をあてて、継布のあたった所を手で抑えている。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
が、そんなことに余り
頓着
(
とんちゃく
)
する男では無いので、
草鞋穿
(
わらじば
)
きの
扮装
(
いでたち
)
甲斐甲斐
(
かいがい
)
しく、早朝から登山の準備に
取
(
とり
)
かかっていると、約束を
違
(
たが
)
えずに塚田巡査が来た。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
明日の朝一番にて東京に到らん方極めて
妙
(
みょう
)
なり、身には
邪熱
(
じゃねつ
)
あり足はなお痛めど、夜行をとらでは以後の苦みいよいよもって大ならむと、ついに
草鞋穿
(
わらじば
)
きとなりて歩み出しぬ。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
した者が、
草鞋穿
(
わらじば
)
きでテクテク三浦三崎などへ、出て行かなければならないのだからなあ。……そうは云ってもよい景色だの。一方は海岸一方は野原、秋草も綺麗に咲いているわい
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そこでお松は能勢様へ行って、お君のために稲荷様のお札をいただいて、帰りに和泉橋のところへ出ると、笠をかぶって
袈裟法衣
(
けさころも
)
に
草鞋穿
(
わらじば
)
きの坊さんが杖をついて、さっさと歩んで来る。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
雪袴に
草鞋穿
(
わらじば
)
きの若い男女がついて、家の角を廻って見えなくなった。
木曽御嶽の両面
(新字新仮名)
/
吉江喬松
(著)
それすら彼は
抑下
(
よくげ
)
して一生、
草鞋穿
(
わらじば
)
きで
駕籠
(
かご
)
へも乗らなかった。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
上野の戦争の場などは訳もなく大喝采で、福助の僧光仁が
草鞋穿
(
わらじば
)
きで上野を落ちるくだりなど、その光仁が何びとであるかを想像して、ひそかに涙をぬぐう老人もあった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それは
腰蓑
(
こしみの
)
で、笠を
被
(
かぶ
)
った、
草鞋穿
(
わらじば
)
きの大年増が、笊に上げたのを提げて、
追縋
(
おいすが
)
った——実は、今しがた……そこに
一群
(
ひとむれ
)
、
鰻
(
うなぎ
)
、
鯰
(
なまず
)
、
鰌
(
どじょう
)
、穴子などの店のごちゃごちゃした中に
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
道程
(
みちのり
)
がかなりにあることで、雨や雪の降る時は
草鞋穿
(
わらじば
)
きなどで通うこともある。
幕末維新懐古談:24 堀田原へ引っ越した頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
そこへ笠を深くかぶった、
草鞋穿
(
わらじば
)
きの、
猟人体
(
かりゅうどてい
)
の
大漢
(
おおおとこ
)
が、
鉄砲
(
てっぽう
)
の
銃先
(
つつさき
)
へ
浅葱
(
あさぎ
)
の小旗を結えつけたのを肩にして、鉄の鎖をずらりと
曳
(
ひ
)
いたのに、大熊を一頭、のさのさと曳いて出ました。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
塚田巡査も町の若者も
之
(
これ
)
に加わって、一隊十四五名の
人数
(
にんず
)
が
草鞋穿
(
わらじば
)
きの
扮装
(
いでたち
)
甲斐甲斐
(
かいがい
)
しく、まだ乾きもあえぬ朝霜を
履
(
ふ
)
んで虎ヶ窟を探りに出た。人々は用心の為に、思い思いの武器を携えていた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
草
常用漢字
小1
部首:⾋
9画
鞋
漢検1級
部首:⾰
15画
穿
漢検準1級
部首:⽳
9画
“草鞋”で始まる語句
草鞋
草鞋銭
草鞋虫
草鞋掛
草鞋脚絆
草鞋代
草鞋作
草鞋錢
草鞋履
草鞋懸