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艶書
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えんしょ
ふりがな文庫
“
艶書
(
えんしょ
)” の例文
旧字:
艷書
この間などは「
其後
(
そのご
)
別に
恋着
(
れんちゃく
)
せる婦人も
無之
(
これなく
)
、いず
方
(
かた
)
より
艶書
(
えんしょ
)
も参らず、
先
(
ま
)
ず
先
(
ま
)
ず無事に消光
罷
(
まか
)
り在り
候
(
そろ
)
間、
乍憚
(
はばかりながら
)
御休心
可被下候
(
くださるべくそろ
)
」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今は待ちあぐみてある日宴会帰りの
酔
(
え
)
いまぎれ、大胆にも一通の
艶書
(
えんしょ
)
二重
(
ふたえ
)
封
(
ふう
)
にして表書きを女
文字
(
もじ
)
に、ことさらに郵便をかりて浪子に送りつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
かの
爛漫
(
らんまん
)
たる桜花と無情なる土塀と人目を忍ぶ少年と
艶書
(
えんしょ
)
を手にする少女と、ああこの単純なる
物象
(
ぶっしょう
)
の配合は
如何
(
いか
)
に際限なき空想を誘起せしむるか。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
艶書
(
えんしょ
)
を入れて来たりして、それからは、一日に二度も来るようになったのだと、困ったというふうに話した。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
すると、その手紙は思いもよらないほかの男から妻へ宛てた
艶書
(
えんしょ
)
だったのだ。言い換えれば、あの男に対する妻の愛情も、やはり純粋なものじゃなかったのだ。
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
それはまだ母が勤め奉公時代に父と母との間に交された
艶書
(
えんしょ
)
、大和の国の実母らしい人から母へ
宛
(
あ
)
てた手紙、琴、三味線、生け花、茶の湯等の
奥許
(
おくゆる
)
しの
免状
(
めんじょう
)
などであった。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その一つは道場の師範から
念流
(
ねんりゅう
)
の折紙をもらったこと、他の一つは
新村家
(
にいむらけ
)
の宵節句に招かれたこと、そうしてその宵節句の席で、彼は(不明の人から)
艶書
(
えんしょ
)
をつけられたのであった。
艶書
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
恋歌
(
こいか
)
も
艶書
(
えんしょ
)
も
千束
(
ちつか
)
にあまるほどであったが、玉藻はどうしてもその返しをしないので、実雅はしまいにこういう恐ろしいことを言って彼女をおびやかした。自分の恋を叶えぬのはよい。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
中には真実
籠
(
こ
)
めし
艶書
(
えんしょ
)
を贈りて
好
(
よ
)
き返事をと促すもあり、また「君
徐世賓
(
じょせいひん
)
たらばわれ
奈翁
(
ナポレオン
)
たらん」などと遠廻しに
諷
(
ふう
)
するもありて、諸役人皆
妾
(
しょう
)
の
一顰一笑
(
いっぴんいっしょう
)
を
窺
(
うかが
)
えるの観ありしも
可笑
(
おか
)
しからずや。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
ところが、驚いたのは、クッションの中に隠されていた
艶書
(
えんしょ
)
の分量だ。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いわんや「私はあなたを恋します」といって見知りもせぬ女に
艶書
(
えんしょ
)
を贈り、それで何ものかを与えたごとく考え、その女が応じなかった場合には立腹するようなことは、最も理由の無いことである。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
いやさ
艶書
(
えんしょ
)
を送った事は知りますまいがな
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「そんな人があるから、いけないんですよ。——それからまだ面白い事があるの。
此間
(
こないだ
)
だれか、あの方の
所
(
とこ
)
へ
艶書
(
えんしょ
)
を送ったものがあるんだって」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
君江には手紙の文体が学生の
艶書
(
えんしょ
)
と同じように
気障
(
きざ
)
にも思われるし、また翻訳小説でも読むようにまわりくどくて、どうやら気味のわるい気はしながらも
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
下にいる女髪結は、
頻々
(
ひんぴん
)
としてお君さんの手に落ちる
艶書
(
えんしょ
)
のある事を心得ている。だからこの桃色をした紙も、恐らくはその一枚だろうと思って、好奇心からわざわざ眼を通して見た。
葱
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
披
(
ひら
)
いてみると
艶書
(
えんしょ
)
だった、それもたいそう露骨でみだらがましく、読むうちにこっちの顔が赤くなるような文句である、明らかに誰かの
拵
(
こしら
)
えたしごとだ、「その字」が園次であるにしても
主計は忙しい
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「しかし
愚
(
ぐ
)
じゃないか、知りもしないところへ、いたずらに
艶書
(
えんしょ
)
を送るなんて、まるで常識をかいてるじゃないか」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夢とも
現
(
うつつ
)
ともなく竜子は去年の秋頃から通学する電車の中で毎朝見かける或学生の姿を思い浮べた。
袂
(
たもと
)
の中へいつの
間
(
ま
)
にか入れられてあった
艶書
(
えんしょ
)
の文句を思出した。
寐顔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と云って、
固々
(
もともと
)
恋人に送る
艶書
(
えんしょ
)
ほど熱烈な
真心
(
まごころ
)
を
籠
(
こ
)
めたものでないのは覚悟の前である。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
実をいうと手紙はある女から男にあてた
艶書
(
えんしょ
)
なのである。
手紙
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“艶書”の意味
《名詞》
恋文。ラブレター。
(出典:Wiktionary)
艶
常用漢字
中学
部首:⾊
19画
書
常用漢字
小2
部首:⽈
10画
“艶書”で始まる語句
艶書合