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せんしつ
私は
宙を
飛んで
船室の
方に
向つた。
昇降口のほとり、
出逢ひがしらに、
下方から
昇つて
來たのは、
夫人と
少年とであつた。
また、
船室へ
入って、すみからすみまで、
懐中ランプで
照らして、さがしたけれど、やはり
一人の
死体も
見つからない。
小窓より黄海の月ほのかにも卓なる花を照す
船室
諸君は
好奇心から
禍を
招いた
罰として、
海底戰鬪艇の
竣成した
曉にも、
裝飾の
無い
船室に
辛房せねばなりませんよ。
船といっしょに
沈んだのだから、
船室の
内にいるに
相違ないというので、あの
人は、また
海の
底へもぐったのだ。
あの
人は、
降りていって、
船室の
内へ
入って、さがしたそうだ。けれど、
一人の
死体も
見つからない。おかしいなと
思ったが、
上がってそのことを
報告した。すると、いやそんなはずはない。
たゞ
公務の
餘暇ある
一團の
士官水兵等が
吾等を
唯ある
船室に
導き、
濡れたる
衣服を
脱がせ、
新しき
衣服を
與へ、
中にも
機轉よき一
士官は
興奮の
爲にと、
急ぎ「ブランデー」の一
杯をさへ
惠んで
呉れた。