-
トップ
>
-
絹地
>
-
きぬぢ
態と
慇懃に
應接うて、
先生、
拜見とそゝり
立てると、
未熟ながら、
御覽下さいましとて、
絹地の
大幅を
其へ
展く。
其都度御米は
眞丸な
縁の
燒けた
銀の
月と、
絹地から
殆んど
區別出來ない
樣な
穗芒の
色を
眺めて、
斯んなものを
珍重する
人の
氣が
知れないと
云ふ
樣な
見えをした。
「
御免。」と
衝と
膝を
進めて、
畫の
面にひたと
向うて、
熟と
見るや、
眞晝の
柳に
風も
無く、
寂として
眠れる
如き、
丹塗の
門の
傍なる、
其の
柳の
下の
潛り
門、
絹地を
拔けて、するりと
開くと