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粟幹
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あはがら
低い
粟幹の
屋根から
其括りつけた
萱や
篠の
葉には
冴えた
耳に
漸と
聞とれるやうなさら/\と
微かに
何かを
打ちつけるやうな
響が
止まない。
彼は
少しばかり
餘してあつた
蓄へから
蝕でも
何でも
柱になる
木やら
粟幹やらを
求めて、
家の
横手へ
小さな二
間四
方位な
掘立小屋を
建てる
計畫をした。
其の
藁や
粟幹は
近所の
手から
與へられた。
彼は
住居を
失つた
第二
日目に
始めて
近隣の
交誼を
知つた。
南の
女房は
古い
藥鑵と
茶碗とを
持つて
來てくれた。