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空樽
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あきだる
ふりがな文庫
“
空樽
(
あきだる
)” の例文
店は二十人もはいれるだろうか、暗くて湿っぽい土間に長い飯台が二つ、それを囲んで
空樽
(
あきだる
)
に薄い蒲団を置いたものが並べてある。
落葉の隣り
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
このとき
若
(
も
)
し地下室を
覗
(
のぞ
)
いていた者があったとしたら、
隅
(
すみ
)
に
積
(
つ
)
んだ
空樽
(
あきだる
)
の山がすこし変に
捩
(
ね
)
じれているのに気がついたであろう。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
茂吉は例の
空樽
(
あきだる
)
の上から、手燭を持つて來ました。手頃な
蝋燭
(
らふそく
)
が一本立つて居りますが、それは三分の二ほど殘して吹き消されて居ります。
銭形平次捕物控:197 罠に落ちた女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
空樽
(
あきだる
)
の腰掛だね、こちとらだって夏向は恐れまさ、あのそら一膳飯屋から、横っちょに駆出したのが若様なんです。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
諺に言葉多きは
科
(
しな
)
少なしと言い、西洋にも
空樽
(
あきだる
)
を叩けば声高しとの語あり。愚者の多言
固
(
もと
)
より厭う可し。況して婦人は静にして奥ゆかしきこそ
頼母
(
たのも
)
しけれ。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
醤油の
空樽
(
あきだる
)
にどっかと腰かけて、ごっつい植木屋バサミで、枝豆をシャキシャキと枝から切り落している。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
赤い
封蝋
(
ふうろう
)
と青い封蝋をちゃんと見分けられるしね。僕が
空樽
(
あきだる
)
を売ると、そいつは僕の
収入
(
みいり
)
になるんだぜ。兎の皮だってそうだよ。お
金
(
かね
)
はお
母
(
かあ
)
さんに預けとくんだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
犬は、その
空樽
(
あきだる
)
を鯨におやりなさいと言いました。ウイリイはそれも片はしからなげてやりました。
黄金鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
大小の丸太、角材、板、
空樽
(
あきだる
)
などが、夜のまに流れついていた。これは、われらの
龍睡丸
(
りゅうすいまる
)
が、くだけて、ばらばらになって、乗りあげた
暗礁
(
あんしょう
)
から、流されてきたのだ。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
「また
空樽
(
あきだる
)
が三ツ
殖
(
ふ
)
えるわけかい。ま、乗んなよ。骨が折れるのは、わしではない、馬だからね」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
町中を流れる黒ずんだ水が見える。
空樽
(
あきだる
)
を
担
(
かつ
)
いで
陸
(
おか
)
から荷舟へ通う人が見える。
竈河岸
(
へっついがし
)
に添うて
斜
(
はす
)
に樽屋の店も見える。何もかも捨吉に取っては親しみの深いものばかりだ。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「奴が俺達の酒宴に媚を呈して大酒を浴びた魂胆は、内心
空樽
(
あきだる
)
の数を唱へて勘定書の高を増さうといふ考へだつたんださうなんだよ。何処まで屈辱を知らぬジユウなんだらうな。」
武者窓日記
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
その足で彼は、番人どもがめいめい
持場
(
もちば
)
についているかどうかと、倉庫を見まわりに出かけたが、番人どもはちゃんと
四隅
(
よすみ
)
に立って、木の
杓子
(
しゃくし
)
で鉄板がわりの小さい
空樽
(
あきだる
)
を
敲
(
たた
)
いていた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
(熊藏は眼かづらを取る。娘三はうけ取りて眼かづらをかけ、
空樽
(
あきだる
)
をさげる。)
箕輪の心中
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
おれが飯屋へ飛び込んで
空樽
(
あきだる
)
に腰掛けるのもそれだ。
一利己主義者と友人との対話
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
太つて「
空樽
(
あきだる
)
」と云はれる人
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
ウイリイはその
仕度
(
したく
)
がすっかり出来ますと、すぐに犬と一しょに船へ乗って出ていきました。やはり前と同じように、魚たちはうじ虫をもらい、鯨は
空樽
(
あきだる
)
をもらいました。
黄金鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
平次は店の中から
空樽
(
あきだる
)
を一梃持出して、それを踏臺に、輪飾りを直してやりました。
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
伊織はもう、物置へ入って、
空樽
(
あきだる
)
を庭へ持ち出している。そして梅の樹を仰いだ。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて近江屋へ帰って、敷石を奥へ入ると、酒の
空樽
(
あきだる
)
、漬もの
桶
(
おけ
)
などがはみ出した、物置の戸口に、石屋が居て、コトコトと石を切る音が、先刻期待した小鳥の骨を
敲
(
たた
)
くのと同一であった。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
平次は店の中から
空樽
(
あきだる
)
を一挺持出して、それを踏台に、輪飾りを直してやりました。
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
空樽
(
あきだる
)
を積んで街道を行く
空
(
から
)
馬車を先に見かけて
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
空
常用漢字
小1
部首:⽳
8画
樽
漢検準1級
部首:⽊
16画
“空”で始まる語句
空
空地
空虚
空想
空洞
空腹
空家
空気
空嘯
空手