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穉
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おさな
ふりがな文庫
“
穉
(
おさな
)” の例文
やはり何んとしても私は「何を申そうにもまだ姫は大へん
穉
(
おさな
)
いので、そう
仰
(
おっし
)
ゃられるとまるで夢みたいな気がいたす程ですから——」
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
いつも陣地を守ってだけはいて、
穉
(
おさな
)
い Neugierde と余計な負けじ魂との為めに、おりおり不必要な衝突をしたに過ぎない。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それは昔彼女の父が不幸のなかでどんなに
酷
(
ひど
)
く彼女を
窘
(
いじ
)
めたか、母はよくその話をするのであるが、すると私は
穉
(
おさな
)
い母の姿を空想しながら涙を流し
闇の書
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
奇獄小説に読む人の胸のみ
傷
(
いた
)
めむとする世に、一巻の
穉
(
おさな
)
物語を著す。これも人
真似
(
まね
)
せぬ一流のこころなるべし。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
穉
(
おさな
)
い時私はよくかういふ子守唄をきかされた、さうして恐ろしい夜の闇にをびえながら、乳母の
背中
(
せなか
)
から手を出して例の首の赤い螢を握りしめた時私はどんなに好奇の心に顫へたであらう。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
▼ もっと見る
久しく忘れてゐた詞だ。少年の頃よく
穉
(
おさな
)
い詩を作つた折に
屡々
(
しば/\
)
使つた詞だ。
愛は、力は土より
(新字旧仮名)
/
中沢臨川
(著)
佐々木氏の
曾祖母
(
そうそぼ
)
、
穉
(
おさな
)
かりしころ友だちと庭にて遊びてありしに、三本ばかりある
胡桃
(
くるみ
)
の木の間より、
真赤
(
まっか
)
なる顔したる男の子の顔見えたり。これは川童なりしとなり。今もその胡桃大木にてあり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
穉
(
おさな
)
い方は、両手に
舷
(
ふなべり
)
に
掴
(
つか
)
まりながら、これも裸の肩で躍って、だぶりだぶりだぶりだぶりと
同一
(
おなじ
)
処にもう一艘、渚に
纜
(
もや
)
った親船らしい、
艪
(
ろ
)
を操る児の丈より高い、他の舷へ波を浴びせて、ヤッシッシ。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
穉
(
おさな
)
かった昔の
羅衣
(
うすもの
)
に身を包もうとして
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
穉
(
おさな
)
かった世の
記念
(
かたみ
)
の感情が、1585
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
まあ頭の君も撫子がこんなに
穉
(
おさな
)
い事がお分りになりさえすればと、おかしい位に思って、さしあたり返事はどうしようかと迷っていたが
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
かかる時にうつろふものは、人の心の花なり。数知らぬ苦しき事は、わが
穉
(
おさな
)
き心に、早く世の人を憎ましめき。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
男の子で
温柔
(
おとな
)
しくしているのもあった。
穉
(
おさな
)
い線が石墨で路に描かれていた。——堯はふと、これはどこかで見たことのある情景だと思った。不意に心が揺れた。
冬の日
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
傍
(
かたわら
)
の船も、
穉
(
おさな
)
いものも、
惟
(
おも
)
うにこの親の子なのであろう。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
穉
(
おさな
)
い頃多くの夢を小さい胸に抱いて
東
(
あずま
)
から上って来たことのある逢坂の山を、女は二十年後に再び越えて往った。
姨捨
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
この時新に中小姓になって中屋敷に勤める
矢川文一郎
(
やがわぶんいちろう
)
というものがあって、
穉
(
おさな
)
い成善の世話をしてくれた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
穉
(
おさな
)
いときの古ぼけた写真のなかに、残っていた
日向
(
ひなた
)
のような弱陽が物象を照らしていた。
冬の日
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
福山侯の家来成斎が、いかに幕府の奥医師の子を尊敬しなくてはならなかったかという、当年の階級制度の
画図
(
がと
)
が、
明
(
あきらか
)
に
穉
(
おさな
)
い成善の目前に展開せられたのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
いままだ自分は
穉
(
おさな
)
くて、容貌もよくはないが、もっとおとなになったら、髪などもずっと長くなり、容貌も上がって、そういう女達のようにもなれるかも知れないなどと
姨捨
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
穉
(
おさな
)
い堯は
捕鼠器
(
ほそき
)
に入った鼠を川に漬けに行った。透明な水のなかで鼠は左右に金網を伝い、それは空気のなかでのように見えた。やがて鼠は網目の一つへ鼻を突っ込んだまま動かなくなった。
冬の日
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
然るに保さんは
穉
(
おさな
)
い時からこれを
看
(
み
)
ることを喜んで、この年の春場所をも、初日から五日目まで一日も
闕
(
か
)
かさずに見舞った。さてその六日目が伊沢の祝宴であった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼が急に思いがけず自分の
穉
(
おさな
)
い頃死んだ母のなんとなく
老
(
ふ
)
けた顔をぼんやりと思い浮べた。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
暫
(
しば
)
しありて
穉
(
おさな
)
き姫、さきの罪
購
(
あがな
)
はむとやおもひけむ、「されどかの君の軍服は上も下もくろければイイダや好みたまはむ、」といふを聞きて、黒き衣の姫振向きて
睨
(
にら
)
みぬ。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「
穉
(
おさな
)
しと笑いたまわんが、寺に入らん日はいかに
嬉
(
うれ
)
しからまし」見上げたる目には涙満ちたり。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
筆に任せて書きしるしつる紀行文日ごとに幾千言をかなしけん、当時の新聞に載せられて、世の人にもてはやされしかど、今日になりておもえば、
穉
(
おさな
)
き思想、身のほど知らぬ放言
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
或はまた迷信の霧に理性を
鎖
(
とざ
)
されていて、こわい物見たさの
穉
(
おさな
)
い好奇心に動かされて来たりするのを、あの血糸の通っている、マリショオな、デモニックなようにも見れば見られる目で
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
穉
(
おさな
)
き心に思い計りしがごとく、政治家になるべき特科のあるびょうもあらず、これかかれかと心迷いながらも、二、三の法家の
講筵
(
こうえん
)
に
列
(
つら
)
なることにおもい定めて、謝金を収め、
往
(
ゆ
)
きて聴きつ。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
穉
部首:⽲
17画
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穉子
穉児
穉心
幼穉
穉拙
穉気
丁穉
幼穉園
徐穉
穉兒
穉樹
穉氣
穉物語
穉童