さいわい)” の例文
心の清き者はさいわいなり、何故なればと云えば其人は神を見ることを得べければなりとある、何処でかと云うに、勿論現世このよではない
「貧しき者はさいわいなり」「かなしむ者は福なり」「柔和なる者は福なり」「矜恤あわれみする者は福なり」「平和やわらぎを求むる者は福なり」
銀三十枚 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
孝陵の山川は其のもとに因れとは、土木を起す勿れとなり。嫁娶を妨ぐる勿れとは、民をしてさいわいあらしめんとなり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
今考えて見るとナカ/\巧者こうしゃだったが、その頃の我輩は徹頭徹尾迷惑した。しかし物は考えようさ。わざわいを転じてさいわいにするように心掛けなければいけない。
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「ええ、これはわざわいを転じてさいわいとする代りに、福を転じて禍とする、縁起えんぎの悪い聖母だと云う事ですよ。」
黒衣聖母 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ああ、恋よ、恋よ! 恋するものには何事も許されるのだ! なぜなれば、恋とは人類愛の結晶でありまして、聖書にも「愛するものはさいわいなり」と書かれてあるではございませんか。
この男はなんのたのしみにも飽かず、なんのさいわいにも安んぜず
悩める者、貧しき者はさいわいなるかな。
ある思想家の手紙 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
古来、「天道は淫にわざわいし善にさいわいす」
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
来世に関する聖書の記事は之れを心霊化スピリチュアライズせんとする、「心の貧しき者はさいわいなり、天国は即ち其人のものなれば也」
然ういう折からは不思議にいつもこの晩の帰りが胸に浮んで来る。わざわいの裏はさいわい、暗の裏は光だ。親父にかぶれて諺を使うようだけれど。僕は然う考えて諦めをつける。
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
中外文武臣僚、心を同じゅうして輔祐ほゆうし、もっが民をさいわいせよ、といえるは、文武臣僚の中、心を同じゅうせざる者あるをおそるゝに似たり。太祖の心、それ安んぜざる有る
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
死ぬる人間のわたくし共は、さいわいでも禍でも、8585
かなしむ者はさいわいなり、其故如何? さに現われんとする天国に於て其人は安慰なぐさめを得べければ也とのことである。
今万物自然の理をいずくんぞ哀念かこれ有らん。皇太孫允炆いんぶん、仁明孝友にして、天下心を帰す、よろしく大位に登るべし。中外文武臣僚、心を同じゅうして輔祐ほゆうし、もっが民をさいわいせよ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
わざわいを転じてさいわいとなす。兵法の極意はこの辺にあります。如何いかがですかな?」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
さいわいをも禍に転じまいものではない。
と私はわざわいを転じてさいわいと為すことに努めた。社長もこれに満足したと見えて
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
神は愛するほどその子を苦しめ賜うがごとし、汝の苦しめらるるは汝神に愛せらるるの証なり、忍びて試誘こころみを受くる者はさいわいなり、そはこころみを経て善とせらるる時は生命のかんむりを受くべければなり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
天道てんどうぜんさいわいあくわざわいす。きみの忠誠は大丈夫天に通じています」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)