ほう)” の例文
手持筒てもちづつの二サンチほうぐらいな鉄砲の弾丸たまが、ふいに、屋形船やかたのすぐ側へ落ちた。白い飛沫しぶきが、滝のように、ざっと、屋形の中へまでかかった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひゞきはるかの海上かいじやうあたつて、きはめてかすかに——じついぶかしきまでかすかではあるが、たしかにほうまた爆裂ばくれつ發火はつくは信號しんがうひゞき
敵軍の偵察艦隊から、殆んど同時に、真黄色まっきいろな煙が上った。十門ずつの八インチほうが、一斉に火蓋を切ったのだった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
越中島の砲術調練場でも、パチパチと、豆をるような小銃の間に遠雷のような、八サンチほうの音がしていた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
漫々まん/\たる海洋かいやううへ金銀きんぎん財寳ざいほう滿載まんさいせるふねみとめたときには、ほうまた衝角しようかくをもつて一撃いちげきもとそのふね撃沈げきちんし、のち潜水器せんすいきしづめてその財寳ざいほう引揚ひきあげるさうである。
たとへ非凡ひぼん手腕しゆわんありとも艦員かんゐんならぬものがほううごかし、じうはなこと出來できないのである。