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瞭然
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はっきり
ふりがな文庫
“
瞭然
(
はっきり
)” の例文
国民はこの政界の
颶風
(
ぐふう
)
を
切掛
(
きっかけ
)
に
瞭然
(
はっきり
)
と目を覚し、全力を緊張させて久しくだらけていた公私の生活を振粛しようとするであろう。
鏡心灯語 抄
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
毎日職を
漁
(
あさ
)
りに出て行く夫が、家庭の外でどういう行動を取って帰って来るのか? 三枝子は
瞭然
(
はっきり
)
とそれを知りたい気がした。
接吻を盗む女の話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
人間と云うものは考え直すと妙なもので、
真面目
(
まじめ
)
になって勉強すれば、今迄少しも分らなかったものも
瞭然
(
はっきり
)
と分る様になる。
落第
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして、それを不思議だと思っているうちに、幽霊は再び元の姿になるのであった、元のように
瞭然
(
はっきり
)
として鮮明な元の姿に。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
咽喉
(
のど
)
が
乾
(
かわ
)
いて
引付
(
ひッつ
)
きそうで、思わずグビリと
堅唾
(
かたず
)
を呑んだ……と、段々明るくなって、雪江さんの姿が
瞭然
(
はっきり
)
明るみに浮出す。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
いくら考えても考え直してみても記憶と記憶との間に一カ所大きな穴があって、そこのところがどうしても
瞭然
(
はっきり
)
としない。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
今も静かに眼を閉じて昔を描けば、坂の両側の小さな、つつましやかな商家がとびとびながらも
瞭然
(
はっきり
)
と浮んで来る。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
私はふと顔を
擡
(
あ
)
げると、その頬骨の尖端から顎骨の不気味な角度にかけて、あらゆる細部が
瞭然
(
はっきり
)
と眼に映った。
誰?
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
一時間ほど前までにはあんなに
瞭然
(
はっきり
)
として、楽しそうに話していたのに、それで突然、出しぬけに魂を奪われてしまうなんて、どう考えても信じられません。
消えた霊媒女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
もともと片方は暗い二条通に接している街角になっているので、暗いのは当然であったが、その隣家が寺町通にある家にもかかわらず暗かったのが
瞭然
(
はっきり
)
しない。
檸檬
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
この
燃殻
(
もえかす
)
の紙は脅迫状の紙と同質なんだ、机の下から発見した
半巾
(
ハンカチーフ
)
ね、あれには手紙を包んであった皺が
瞭然
(
はっきり
)
残って、しかもナフタリンの
匂
(
におい
)
が
沁
(
し
)
みこんで居た
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
生憎
(
あいにく
)
この近眼だから、顔は
瞭然
(
はっきり
)
見えなかッたが、
咥煙管
(
くわえぎせる
)
で艪を押すその
持重加減
(
おちつきかげん
)
!
遖
(
あっぱ
)
れ
見物
(
みもの
)
だッたよ。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
六
号室
(
ごうしつ
)
の
第
(
だい
)
五
番目
(
ばんめ
)
は、
元来
(
もと
)
郵便局
(
ゆうびんきょく
)
とやらに
勤
(
つと
)
めた
男
(
おとこ
)
で、
気
(
き
)
の
善
(
い
)
いような、
少
(
すこ
)
し
狡猾
(
ずる
)
いような、
脊
(
せ
)
の
低
(
ひく
)
い、
瘠
(
や
)
せたブロンジンの、
利発
(
りこう
)
らしい
瞭然
(
はっきり
)
とした
愉快
(
ゆかい
)
な
眼付
(
めつき
)
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
空が暗くなるにつれて、深山の奥で
熾
(
さかん
)
に火の手が燃え上って、その焔の
周囲
(
まわり
)
に三つの黒い影が動くのが
瞭然
(
はっきり
)
と分ったが、いつしか
火手
(
ひのて
)
が
漸次
(
ぜんじ
)
に衰えて、赤かった焔の力が弱って黄色くなって見えた。
捕われ人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
お園の頭と肩とはごく
瞭然
(
はっきり
)
見えたが、腰から下は姿がだんだん薄くなって見えなくなっている——あたかもそれが本人の、はっきりしない反影のように、また、水面における影の如く透き通っていた。
葬られたる秘密
(新字新仮名)
/
小泉八雲
(著)
私は微力を測らずして一躍男子の圧抑から
脱
(
のが
)
れようとする
痩
(
やせ
)
我慢を恥じねばならなかった。私は
瞭然
(
はっきり
)
と女性の
蒼白
(
そうはく
)
な裸体を見ることが出来た。
鏡心灯語 抄
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
そのすらりとした後姿を見せて蓮葉に
日和下駄
(
ひよりげた
)
を鳴らして行くお鶴と、物を言わない時でも底深く漂う水のような涼しい眼を持ったお鶴とをことさら
瞭然
(
はっきり
)
と想い出すことが出来る。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
その
瞭然
(
はっきり
)
した部分が始終揺れ動いていた。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
静寂な木立を後にして崖の上に立っていると芝居の内部の鳴物の
音
(
ね
)
が
瞭然
(
はっきり
)
と耳に響くように思われてあの坂下の賑わいの中に飛んで行きたいほど一人ぼっちの自分がうら淋しく思われた。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
“瞭然”の意味
《形容動詞》
明白で疑う余地がないこと。
(出典:Wiktionary)
瞭
常用漢字
中学
部首:⽬
17画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“瞭”で始まる語句
瞭
瞭乎
瞭々