百年もゝとせ)” の例文
彼曰ふ、あゝ子よ、この群の中たとひ束の間なりとも止まる者あればその者そののち身を横たゆる百年もゝとせに及び火これを撃つとも扇ぐによしなし 三七—三九
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
げ女と生れし甲斐かひなさは百年もゝとせの苦樂他人に在りと常から教を受まつれば本夫をつともた生涯しやうがい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つれなしと見つる浮世に長生ながらへて、朝顏のゆふべを竣たぬ身に百年もゝとせ末懸すゑかけて、覺束おぼつかなき朝夕あさゆふを過すも胸に包める情の露のあればなり。戀かあらぬか、女子のいのちはそも何に喩ふべき。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
かたともみづうみともえた……むし寂然せきぜんとしてしづんだいろは、おほいなる古沼ふるぬまか、千年ちとせ百年もゝとせものいはぬしづかなふちかとおもはれた圓山川まるやまがは川裾かはすそには——河童かつぱか、かはうそは?……などとかうものなら、はてね
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
三途川さんづがはわたしはさき百年もゝとせきみがむかひをとゞめ申さん 五放舎ごはうしや
百年もゝとせ刹那せつなちゞめ、血のはりきにし死すとも
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
百年もゝとせもきのふのごとし
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
百年もゝとせ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
たとひ百年もゝとせの間に一オンチヤをゆきうるばかりなりともこの身輕くば、この處周圍めぐり十一ミーリアあり 八二—八四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
見つゝ思はず悚然ぞつとして、いしくも咲いたり、可愛かはゆき花、あざみ鬼百合おにゆりたけくんば、我がことばに憤りもせめ、姿形のしをらしさにつけ、汝優しき心より、百年もゝとせよはひを捧げて、一朝の盛を見するならずや
草あやめ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
鳥部野とりべのの煙絶ゆる時なく、仇し野の露置くにひまなき、まゝならぬ世の習はしに漏るゝ我とは思はねども、相見ての刹那に百年もゝとせの契をこむる頼もしきためしなきにもあらぬ世の中に、いかなれば我のみは
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
三途川さんづがはわたしはさき百年もゝとせきみがむかひをとゞめ申さん 五放舎ごはうしや