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献酬
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けんしゅう
ふりがな文庫
“
献酬
(
けんしゅう
)” の例文
旧字:
獻酬
木村さんもそうだと思うが、私には、夫の留守に木村さんと
献酬
(
けんしゅう
)
することは、夫の意志に背くことにはならない、という気があった。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「議論はいやよ。よく男の方は議論だけなさるのね、面白そうに。
空
(
から
)
の
盃
(
さかずき
)
でよくああ飽きずに
献酬
(
けんしゅう
)
ができると思いますわ」
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
献酬
(
けんしゅう
)
などはまどろっこしい。酒は手酌に限るようだ。さて手酌で一杯飲もう。……しかし何かを祝おうではないか」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
僕はその
日
(
ひ
)
膳
(
ぜん
)
を前に、若槻と
献酬
(
けんしゅう
)
を重ねながら、小えんとのいきさつを聞かされたんだ。小えんにはほかに男がある。それはまあ
格別
(
かくべつ
)
驚かずとも
好
(
よ
)
い。
一夕話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ふたりは一つのさかずきを
献酬
(
けんしゅう
)
した。善兵衛はいろいろ野球の方法を話したが覚平にはやはりわからなかった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
▼ もっと見る
媒妁は滅多に公会祝儀の席なぞに出た事のない本当の
野人
(
やじん
)
である。酒がはじまった。手をついたり、お
辞儀
(
じぎ
)
をしたり、小むつかしい
献酬
(
けんしゅう
)
の礼が盛に行われる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
酒は一升徳利からその丹塗の大椀の底にちょっぴり注がれて、五人組総代と私の間の
献酬
(
けんしゅう
)
である。やれやれと安心したら今度はもひとつの大椀を取って差出す。
加波山
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
不思議な男女、荒れ寺のあなぐらで、この初冬の夜を飲みあかそうと、献しつ押えつ、
献酬
(
けんしゅう
)
がはじまった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「大変先生も機嫌がよかった。いま一杯やるところだからと進められたが、お須磨さんが
土瓶
(
どびん
)
をもっているからなんだと思ったら、土瓶でお
燗
(
かん
)
をして
献酬
(
けんしゅう
)
しているところだった」
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
伯父夫妻としては、自分の一家さえ安全なら、賊が逮捕されようとされまいと、そんなことは問題ではないのですから、ただもう明智への礼心で、賑かな
杯
(
さかずき
)
の
献酬
(
けんしゅう
)
が始められました。
黒手組
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
すなわちあの時代にも一人で飲むのは
下人
(
げにん
)
で、主人との
献酬
(
けんしゅう
)
はなかったのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
時を
措
(
お
)
いては、またべつな者が杯を持ってすすみ、
献酬
(
けんしゅう
)
のあいだに
説
(
と
)
く。或いは
情
(
じょう
)
をもってすがる。或いは世情の嘆や官の腐敗を言って
口説
(
くどき
)
にかかる。が、
盧
(
ろ
)
の拒否はまるで
巌
(
いわお
)
のようでしかない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二人の前には正月の
膳
(
ぜん
)
が
据
(
す
)
えてあった。客は少しも酒を飲まないし、私もほとんど
盃
(
さかずき
)
に手を触れなかったから、
献酬
(
けんしゅう
)
というものは全くなかった。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのうちに追ひ/\一同も打ち解けて来て、此処彼処で会話が取り交はされる。ぽつ/\盃の
献酬
(
けんしゅう
)
が始まる。
青春物語:02 青春物語
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
露柴も、——露柴は土地っ子だから、何も珍らしくはないらしかった。が、
鳥打帽
(
とりうちぼう
)
を
阿弥陀
(
あみだ
)
にしたまま、如丹と
献酬
(
けんしゅう
)
を重ねては、
不相変
(
あいかわらず
)
快活にしゃべっていた。
魚河岸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
二人は、小さな
猪口
(
ちょく
)
を、さしつおさえつ、さも楽しげに
献酬
(
けんしゅう
)
しながら、演技に
見惚
(
みと
)
れるのだった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
桂と、斧四郎とは、船から船へ、手をのばし合って、
杯
(
さかずき
)
を
献酬
(
けんしゅう
)
した。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私はこれを聞いた時には、陽気なるべき
献酬
(
けんしゅう
)
の間でさえ、もの思わしげな三浦の姿が
執念
(
しゅうね
)
く眼の前へちらついて、義理にも賑やかな笑い声は立てられなくなってしまいました。
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そうして客でもあると、
献酬
(
けんしゅう
)
の間によくそれを臨機応変に運用した。多年父の
傍
(
そば
)
に
寝起
(
ねおき
)
している自分にもこの
女景清
(
おんなかげきよ
)
の逸話は始めてであった。自分は思わず耳を傾けて父の顔を見た。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、播磨守は、
献酬
(
けんしゅう
)
のあいだに打ち笑って
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのうち
燗徳利
(
かんどくり
)
が
頻繁
(
ひんぱん
)
に往来し始めたら、四方が急に
賑
(
にぎ
)
やかになった。野だ公は恭しく校長の前へ出て
盃
(
さかずき
)
を頂いてる。いやな奴だ。うらなり君は順々に
献酬
(
けんしゅう
)
をして、
一巡周
(
いちじゅんめぐ
)
るつもりとみえる。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“献酬”の意味
《名詞》
宴会で盃を互いに交わすこと。
(出典:Wiktionary)
献
常用漢字
中学
部首:⽝
13画
酬
常用漢字
中学
部首:⾣
13画
“献”で始まる語句
献
献立
献上
献策
献納
献言
献立表
献物
献帝
献身的