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狡
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こす
ふりがな文庫
“
狡
(
こす
)” の例文
しようものなら皆な食われて了う……そこは私もなかなか
狡
(
こす
)
いや。だけれども世間の人はそう言わない。そこがねえ
辛
(
つら
)
いと言うもんです
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
狡
(
こす
)
いものには
賺
(
だま
)
され、家禄放還金の公債も
捲
(
ま
)
きあげられ、家財を売り
食
(
ぐい
)
したり、娘を売ったり、
鎗
(
やり
)
一筋の主が白昼大道に
筵
(
むしろ
)
を敷いて、その鎗や刀を売ってその日の
糧
(
かて
)
にかえた。
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
いいながらも弥生は、前をゆく二人をみつめているので、そばの豆太郎が、これはいささか
曰
(
いわ
)
くがありそうだわい! というように
狡
(
こす
)
そうに首をかしげたのに気がつかなかった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そして画を検査してから、「
售
(
う
)
れないなら售れないで、原物を返してくれるべきに、
狡
(
こす
)
いことをしては困る」というと、「飛んでもない、正しくこれは原物で」と廷珸はいい張る。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
と老人はその中に
見知越
(
みしりごし
)
の顔を見つけ出さうと、
狡
(
こす
)
さうな眼つきで皆の顔を見比べた。すると、一番前に末松
謙澄
(
けんちよう
)
氏夫人が立つてゐるのが見つかつた。老人は鼻を鳴らして喜んだ。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
雛罌粟色
(
ひなげしいろ
)
の
薔薇
(
ばら
)
の花、
雛形娘
(
ひながたむすめ
)
の
飾紐
(
かざりひも
)
、
雛罌粟色
(
ひなげしいろ
)
の
薔薇
(
ばら
)
の花、
小
(
ちひ
)
さい
人形
(
にんぎやう
)
のやうに立派なので
兄弟
(
きやうだい
)
の
玩弄
(
おもちや
)
になつてゐる、おまへは
全體
(
ぜんたい
)
愚
(
おろか
)
なのか、
狡
(
こす
)
いのか、
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ、
無言
(
むごん
)
の花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「君は次男坊だけれど、僕は四男坊だもの。
倍方
(
ばいかた
)
狡
(
こす
)
く立ち廻らないと追いつかない」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
歌ちゃんあの方のお名前を知って居るかえ、いゝえ知らないよ
過日
(
このあいだ
)
鳴鳳楼で大勢の時お目に懸ったばかり、伺って御覧な、何とか
云
(
いう
)
んだっけ、
狡
(
こす
)
いよと笑いながらまた連立て
登
(
あが
)
って来たが
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
「そら、六年もいられて見ると、自分の娘と一緒やわ。
狡
(
こす
)
いとこもあるけど、継子育ちのようなひねくれたとこがのうて、素直で、情愛があって、つくづく厄介な女や思いながら憎む気イせえへんねん。やっぱりあの
娘
(
こ
)
は人徳があるねんな」
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
家康は
狡
(
こす
)
さうな眼つきで、ちらと正則の
容子
(
ようす
)
を見てゐたやうだつたが、だしぬけに
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかし思いのほかに
目鼻立
(
めはなだち
)
の整った、そして
怜悧
(
りこう
)
だか気象が好いか何かは分らないが、ただ
阿呆
(
あほ
)
げてはいない、
狡
(
こす
)
いか善良かどうかは分らないが、ただ無茶ではない、ということだけは
読取
(
よみと
)
れた。
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
こんな
狡
(
こす
)
いことをしてゐる、よく
花客
(
とくい
)
が知らずにゐるな、と言つた。
佃のわたし
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
狐のやうに
狡
(
こす
)
い記者は、目の前の機会をその儘
見遁
(
みのが
)
すやうな事はしなかつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
彼
(
か
)
れはつれの白人に
狡
(
こす
)
さうな眼つきをちらと呉れるなり
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
狡
漢検1級
部首:⽝
9画
“狡”を含む語句
狡猾
悪狡
狡獪
小狡
狡智
狡黠
狡滑
狡猾者
狡譎
狡才
狡知
狡辛
狡兎
狡童
狡獣
狡猾無比
狡猾相
狡猾世界
狡策
狡計
...