やい)” の例文
旧字:
京都きょうとの画工某のいえは、清水きよみずから高台寺こうだいじく間だが、この家の召仕めしつかいぼく不埒ふらちを働き、主人の妻と幼児とを絞殺こうさつし、火を放ってその家をやいた事があるそうだ
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
ソレは勿論ザラに人に見せられるものでない。ただ親友間の話の種にする位の事にして置たが、随分ずいぶん面白いものである。所が私はその書付かきつけ一日あるひ不意とやい仕舞しまった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
十日もためし草を一日にやいたような心地して、尼にでもなるより外なき身の行末をなげきしに、馬籠まごめに御病気と聞く途端、アッと驚くかたわらおろかな心からは看病するをうれし
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
やいにして飲んでしまおうか、そうしたらちっとはあやかるかも知れん、アハハハハ
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
三十計りの男と十五位な娘とが頻にやいていたが、おどろい戸外そとの方を向いた。
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
その時は私は鉄砲洲に居たが、早々そうそうその書付かきつけやい仕舞しまったけれども、何分気になってたまらぬとうのは、私がその書付の写しか何かを親類の者にやったことがある
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
れはさて置き、今日でもかいたものを見れば、文久三年の事情はよくわかって、外交歴史の材料にもなり、すこぶる面白いものであるが、何分にも首にはえられずやい仕舞しまったが
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)