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ぶにん
ふりがな文庫
“
無人
(
ぶにん
)” の例文
拝借して、
炉
(
ろ
)
に火を残したまま
無人
(
ぶにん
)
に致しては、寺則を破ることになる。万吉、必ずわしが留守の間に、ここをあけては相ならぬぞ
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奥さんは最初から、
無人
(
ぶにん
)
で
淋
(
さむ
)
しいから、客を置いて世話をするのだと公言していました。私もそれを
嘘
(
うそ
)
とは思いませんでした。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それからそれ半年ばかり九州路をまわって久々に東京へ帰って来ると、由良は、横浜で
無人
(
ぶにん
)
のさびしい芝居をあけていた。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
ただ気づよいコックの
吉公
(
きちこう
)
だけは、このカフェを
無人
(
ぶにん
)
にも出来まいというので、依然として階下のコック
室
(
べや
)
に泊っていた。
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
無人
(
ぶにん
)
では叶わぬところだから、六郎の父の讃岐守は、六郎に
三好筑前守之長
(
みよしちくぜんのかみゆきなが
)
と
高畠与三
(
たかばたけよぞう
)
の二人を
付随
(
つけしたが
)
わせた。二人はいずれも武勇の士であった。
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
家
(
うち
)
が
無人
(
ぶにん
)
で困っているのに
何
(
なん
)
ぼ信心だからと云って、出先から成田へ往ったら又旦那に叱られるだろうと、こう思って止したのが結句幸いであった
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかし、根岸の寮は
無人
(
ぶにん
)
なので、叔父の友二郎に差支えのある時はなるべく行って泊ることにしております。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
さういふ
無人
(
ぶにん
)
な家のことで、衣類や大切な物は市川の知り
人
(
びと
)
の許に預け、箪笥には時節のものしか入れて置かないことを、細君は得意らしく桑田に話をした。
人妻
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
無人
(
ぶにん
)
で失礼。さあ、どうぞ、と
先方
(
さき
)
は
編上靴
(
あみあげぐつ
)
で手間が取れる。主税は気早に靴を脱いで、
癇癪紛
(
かんしゃくまぎれ
)
に、突然二階へ懸上る。段の下の
扉
(
ひらき
)
の蔭から、そりゃこそ旦那様。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
無人
(
ぶにん
)
の家で、ろくな、おもてなしもできませんが、どうか、夕食を……カオルさんも」
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
門番兼役の若党がひとりと、下廻りの者は
無人
(
ぶにん
)
ながらも形を整えていましたが、肝腎の上働らきに従事する腰元侍女小間使いの類は、唯の半分も姿を見せぬ変った住いぶりでした。
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
殊
(
こと
)
にその当時の人気俳優福助をかかえ込んでいるので、華やかな人気はいつも新富町の方にあつまっていた。歌舞伎座の方は何分にも
無人
(
ぶにん
)
で、舞台の上がとかく寂しく感じられた。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
無人
(
ぶにん
)
で食事の世話まではしてあげることはできないが、
家
(
うち
)
にあるもので入り用なものはなんでもおつかいなさい。こう言って、主僧は机、火鉢、座蒲団、茶器などを貸してくれた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「俺は一人で行くよ。お前がついて来ると家が
無人
(
ぶにん
)
になるから矢っ張り気を揉む」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「せっかくでございますが、私共は
無人
(
ぶにん
)
でございますから」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
警察はちょうど
無人
(
ぶにん
)
であった。
オンチ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
甚伍 へえ、何しろ
無人
(
ぶにん
)
で。
天狗外伝 斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
貸くれと申すも餘り心なきことと存じ
斷
(
ことわ
)
り申候と云ひける時越前守殿其方は母の
病中
(
びやうちう
)
に一度見舞に參りしと菊が申立しが夫に相違なきやと
訊尋
(
たづね
)
られければお粂は少し
詞
(
ことば
)
の
淀
(
よど
)
みしが私し方甚だ
無人
(
ぶにん
)
にて私し店に居申さず候ては用向差支へ候ゆゑ
漸々
(
やう/\
)
一度見舞に參り候と申立るに越前守殿夫は
何時頃
(
いつごろ
)
の事なりと云るればお粂は指を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「ちょっと出ますんでございますが、つい
無人
(
ぶにん
)
だもので、出よう出ようと思いながら、とうとう
御無沙汰
(
ごぶさた
)
になりまして……」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
無人
(
ぶにん
)
だといい、主人も知行所へ旅立ちをして不在だといったのに、今の声は、たしかに男の咳ばらいである。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
無人
(
ぶにん
)
のみるかげもない由良一座に馳せさんじたようなことも、イルカ飛をとびそこなって一生残るほどの怪我をしたようなことも、そうした生きのいゝ、ふん切った
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
「なにぶん娘と二人の
無人
(
ぶにん
)
でございます。薬箱持ちの男はおりますが、それは通いで、夜は帰ってしまいますし、下女は一人おりますが、
居睡
(
いねむ
)
りするより外に芸のない女で——」
銭形平次捕物控:095 南蛮仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「藤波はうっかり見のがしたろうが、あたしはそんなことじゃだまされない。……いかに江戸が繁昌でも、
無人
(
ぶにん
)
の空家から祝儀の釣台が出てくることはない。もし、ほんとうにあったら、それは、お化の口」
顎十郎捕物帳:08 氷献上
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
もとから自分の
持家
(
もちいえ
)
だったのを、一時親類の
某
(
なにがし
)
に貸したなり久しく過ぎたところへ、父が死んだので、
無人
(
ぶにん
)
の
活計
(
くらし
)
には場所も広さも
恰好
(
かっこう
)
だろうという母の意見から
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ここに顔を見せていない堀部弥兵衛老人が先ずそうだし、本所中之郷にいる浪人の大石
無人
(
ぶにん
)
などは、それでもまだ近頃の若い者は分別過ぎて実行力が乏しいと酷評している位なのである。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
無人
(
ぶにん
)
で
淋
(
さむ
)
しくって困るから相当の人があったら世話をしてくれと頼まれていたのだそうです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
内蔵助には遠縁にあたる者で、大石
無人
(
ぶにん
)
という人物なのである。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「至って、
無人
(
ぶにん
)
なおやしきでございますから」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“無人”で始まる語句
無人島
無人境
無人相
無人処
無人殿
無人生
無人郷
無人地方
無人境説
無人芝居