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澁谷
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しぶや
是は
偉い!……
畫伯の
自若たるにも
我折つた。が、
御當人の、すまして、これから
又澁谷まで
火を
潛つて
歸ると
言ふには
舌を
卷いた。
六
月の
末であつた。
府下澁谷邊に
或茶話會があつて、
斯の
工學士が
其の
席に
臨むのに、
私は
誘はれて
一日出向いた。
「あゝ……いまも
風説をして、
案じて
居ました。お
住居は
澁谷だが、あなたは
下町へお
出掛けがちだから。」
恁うやつて、
奴凧が
足駄を
穿いて
澁谷へ
落ちたやうに、ふらついて
居るのも、
詰り
此手紙のためで、……
其も
中の
文句の
用ではありません——ふみがらの
始末なんです。