つぶし)” の例文
特に女の眼をよろこばせそうな冬菜ふゆなは、形のまま青くで上げ、小鳥は肉をつぶしして、枇杷びわの花の形に練り慥えてあった。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
亭主ていしゅもつなら理学士、文学士つぶしが利く、女房たば音楽師、画工えかき、産婆三割徳ぞ、ならば美人局つつもたせ、げうち、板の間かせぎ等のわざ出来てしかも英仏の語に長じ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
おぼえさせまた金者かなもの相針あひばりはいくらにあかゞねつぶしにして何程といふ相場をきゝ一々手覺ておぼえに書留かきとめさせて歸りしが夫より長八夫婦は店住たなすまひとなり翌日よりかごかつぎ紙屑かみくづ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
墮馬髻だばきつのものたるや、がつくり島田しまだふにおなじ。あんずるに、つぶしひ、藝子げいこなげひ、やつこはた文金ぶんきん島田髷しまだまげのがつくりとるは、非常ひじやうときのみ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と斜めに警官を見て、莞爾にっこり笑う……皓歯しらはも見えて、毛筋の通った、つぶし島田は艶麗あでやかである。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
松の内でないと見られなかった——つぶし島田のつやは失せぬが、鬢のほつれは是非も無い。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これ程の玉なら、つぶしに売ったって三年の年期にして四五百円がものはあります。それを貴下あなたは、初物をせしめるばかりか、生涯のなぐさみにするのだもの、こちらは見切って大安売だ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つぶし島田を正的まっすぐに見せて、卓子台の端にぴたりと俯向うつむ
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)