海蛇うみへび)” の例文
海蛇うみへびられたとは、しんめうことだとおもつてりましたが、それがよく隱語いんご使つか伊太利人イタリーじんくせで、その書面しよめんではじめてわかりましたよ。
その株屋は誰が何と言っても、いや、虎魚おこぜなどの刺すわけはない、確かにあれは海蛇うみへびだと強情を張っていたとか言うことだった。
海のほとり (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その時向うから銀色の光がパッとして小さな海蛇うみへびがやって来ます。くじらは非常におどろいたらしく急いで口を閉めました。
双子の星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「小船一せきも見えません、信号もかかげてありましたが、ケート小母おばさんに海蛇うみへびらの話をきいたので、六週間以前におろしてしまいました」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
つけものは蓮根れんこんのぬかづけが好き。だがちかごろは洋食のメニューを並べている。ときどきこっそり支那街へ海蛇うみへびの料理を食しにいらっしゃる。婦人病の薬だとて。
新種族ノラ (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
燐光りんこうを放つ海蛇うみへびの水槽のほかは、皆水の上に明るい電燈がついていて、海底を模した水槽は、底の小石の一つ一つまで、ハッキリと、しかし青い鹽水しおみずの層にゆがんで、眺められた。
地獄風景 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
やがてのことに、青味あおみびたドロンとした液体が、クネクネとまるで海蛇うみへびの巣をのぞいたときはこうもあろうかというような蠕動ぜんどうを始めました。なんという気味のわるい生物でしょう。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
海蛇うみへびの鎌首高く、たまたまに
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
つてりました「わたくしせがれわたくしことかずに、十月じふぐわつたゝり家出いへでをしたばかりに、海蛇うみへびられてしまひました。」
「でもイバンス運転手は、海蛇うみへびの悪事を知っています、悪漢どもにすきがあったら、逃走とうそうしているにちがいありませんよ」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「ぼくらは早く海蛇うみへびらの動静どうせいが知りたいのです、そして今後の方針を定めなければならない、おじさん、左門洞にのがれるまでの話をしてください」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
これは本當ほんたうです、げんわたくし一人ひとりせがれも、七八ねん以前いぜんことわたくしせつめるのもかで、十ぐわつたゝり家出いへでをしたばかりに、つひおそろしい海蛇うみへびられてしまいました。