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洋盃
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コツプ
ふりがな文庫
“
洋盃
(
コツプ
)” の例文
見ると、床に落ちて、
粉々
(
こな/\
)
に砕けてゐる
洋盃
(
コツプ
)
の
側
(
そば
)
を、大きな灰色の鼠が血だらけな英雄の心の臓を
咥
(
くは
)
へて小走りに逃げのびようとしてゐる。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
其
洋盃
(
コツプ
)
の
中
(
なか
)
には、代助が
庭
(
には
)
へ
空
(
あ
)
けたと同じ位に
水
(
みづ
)
が
這入
(
はい
)
つてゐた。代助は湯呑を
持
(
も
)
つた
儘
(
まゝ
)
、茫然として、三千代の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
酒棚に近い卓子で、唐草模様のついた陶器製の
洋盃
(
コツプ
)
を持つた若者が、そんなことを余り興味なさゝうな口調で云ふと、傍らの伴れらしい男が
山彦の街
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
情
(
つれ
)
なき女中に銀紙の
洋盃
(
コツプ
)
を作つてやり、飢ゑて貧しい都會の空で、故郷を戀ふる哀傷の詩を歌はせ、そして文明社會における君自身の裸體を羞かしく感じさせた。
室生犀星に与ふ
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
宛然
(
まるで
)
洋盃
(
コツプ
)
に
一昨日
(
おとゝひ
)
注いだビールの樣だ。仕樣のない顏だよ。
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
向ふの連中には全く聞えなかつたと見えて、此時
麦酒
(
ビール
)
の
洋盃
(
コツプ
)
が四つ
許
(
ばか
)
り一度に高く
上
(
あ
)
がつた。得意さうに祝盃を挙げてゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして
四辺
(
あたり
)
の騒々しさと掛け離れた静かな
卓子
(
テーブル
)
に
凭
(
よ
)
りかゝつて、ちびり/\
洋盃
(
コツプ
)
の
縁
(
ふち
)
を
嘗
(
な
)
めながら、頭を突き合はせて
低声
(
こごゑ
)
で何か話してゐた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
僕はいつの間にか陶然として、
洋盃
(
コツプ
)
を持つたまゝそんなことを呟くと胸をひろげて山の上の月を眺めた。
馬車の歌
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
宛然
(
まるで
)
洋盃
(
コツプ
)
に
一昨日
(
をととひ
)
注いだビールの様だ。仕様のない顔だよ。
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「あの女は私達のやうに雪駄も
穿
(
は
)
いてなけりや、
洋盃
(
コツプ
)
も持つてないかして、あんなに口移しに水を飲んでますわ。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
代助は
振
(
ふ
)
り向きもせず、書斎へ
戻
(
もど
)
つた。
敷居
(
しきゐ
)
を跨いで、
中
(
なか
)
へ這入るや否や三千代の
顔
(
かほ
)
を見ると、三千代は
先刻
(
さつき
)
代
助
(
すけ
)
の
置
(
お
)
いて
行
(
い
)
つた
洋盃
(
コツプ
)
を膝の
上
(
うへ
)
に両手で持つてゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ラボツクは蟻の研究で聞えた人だが、ある時一匹の蟻をウイスキイの
洋盃
(
コツプ
)
に
投
(
ほ
)
り込んで、したたか酒に酔はせた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ひそかに
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
へ
立
(
た
)
つて、
例
(
いつも
)
のヰスキーを
洋盃
(
コツプ
)
で
傾
(
かたむ
)
け様かと思つたが、遂に其決心に堪えなかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
関雪氏は名残を惜むで、寝台でもぞもぞしてゐる麦僊氏を
促
(
せ
)
き立てて食堂へ入つて往つた。そして
麦酒
(
ビール
)
の大
洋盃
(
コツプ
)
を言ひつけた。酒に弱い麦僊氏は、酒飲みの関雪氏の前には一
溜
(
たまり
)
もなかつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
すこし酔がまはつて、物が面倒くさくなると、秋山氏は口のなかの蠅などは頓着なく、一息に
洋盃
(
コツプ
)
をあふりつけるので、蠅はそのまゝ咽喉を滑りおちて、この
手強
(
てごは
)
い軍人の胃の腑にもぐつて往つた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そんな折には土地名物の青蠅がやつて来て
洋盃
(
コツプ
)
のふちで逆立ちをしたり、とんぼがへりをしたりした。秋山氏はそんな事には頓着なく、
洋盃
(
コツプ
)
を唇にあてると、蠅ぐるみ
麦酒
(
ビール
)
の泡をぐつと一息に飲むだ。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
行
(
ゆ
)
き
詰
(
つま
)
つた文豪は
洋盃
(
コツプ
)
の水を
嚥
(
の
)
んで勢ひをつけた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
洋
常用漢字
小3
部首:⽔
9画
盃
漢検準1級
部首:⽫
9画
“洋”で始まる語句
洋燈
洋傘
洋杖
洋袴
洋服
洋灯
洋卓
洋琴
洋
洋妾