河辺かわべ)” の例文
二人ふたりは、だんだんとしをとるにつれて、河辺かわべあるいているときも、みずうつった自分じぶん姿すがたをとめてながめるようになりました。
木と鳥になった姉妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
昭青年はこれを機として落髪らくはつして僧となり、別に河辺かわべ鯉魚庵りぎょあんを開いて聖胎長養せいたいちょうように入ったが、将来名器の噂が高い。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
イスラエルの人民が泣きぬれてバビロンの河辺かわべに立ったとき、あの月は竪琴たてごとのかかっているヤナギの木のあいだから、悲しげにそれをのぞいたこともあるのです。
原料にはよらなかったのである。秋田県河辺かわべ郡のネリガユは、粃米しいなの粉であってこれを午食用ひるめしように供し、三重県南海岸のネリゲはまた蕎麦粉であった。この地方に行わるる茶揉ちゃもみ唄に
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
河辺かわべに立って岸と岸との間を眺めていると、水の量が泥の量より少いくらい濁ったものが際限なく押し寄せて来る。五万年はおろか、一二カ月で河口はすっかりふさがってしまいそうである。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
金持かねもちは、そとかわのほとりへいってみますと、どこの河辺かわべひとでいっぱいでありました。みんな金色こんじきうおらえようとしているのです。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
河辺かわべには、毎日まいにちいくにんということなく、無数むすう人々ひとびと両岸りょうがんならんでりをしました。そして、金色こんじきうお自分じぶんろうとおもったのでありました。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
河辺かわべへゆくとおおくの人々ひとびとが、口々くちぐち金色こんじきうおは、まだれないだろうかといっていました。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこは河辺かわべのようなのしげったあいだに、いたや、たけむすびつけて、そのうえくさや、わらでふいたあわれな小屋こやなかに、七つか八つになったおんなが、すみのほうにぼろにくるまって、あの人形にんぎょうをたいせつに
なくなった人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)