沒却ぼつきやく)” の例文
新字:没却
にちいた疾風しつぷうはたちからおとしたら、西にしそら土手どてのやうなくもはしちかすわつて漸次だん/\沒却ぼつきやくしつゝまたゝいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
併し自分は親の光を取受うけとツて、自分を光らせやうとも思はなければ、また華族なる特別の階級クラスに立ツて自己を沒却ぼつきやくするのも嫌だ。自分はたゞの人として自己を發揮すればりる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
そらからはあたゝかい日光につくわうまねいてつちからはなががずん/\とさしげてはさらながくさしげるので派手はではなむぎ小麥こむぎにも沒却ぼつきやくされることなくひろめるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
れが段々だん/\いやでない誘惑いうわくつてあまあぢわづかかんずる程度ていどまでちかづいた刹那せつなさい破壞はくわいられたのである。おつぎは以前いぜんかへつて恐怖きようふふか沒却ぼつきやくせねばならなくつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)