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歩々
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ほほ
ふりがな文庫
“
歩々
(
ほほ
)” の例文
貪欲界
(
どんよくかい
)
の雲は
凝
(
こ
)
りて
歩々
(
ほほ
)
に厚く
護
(
まも
)
り、
離恨天
(
りこんてん
)
の雨は随所
直
(
ただち
)
に
灑
(
そそ
)
ぐ、
一飛
(
いつぴ
)
一躍出でては人の肉を
啖
(
くら
)
ひ、半生半死
入
(
い
)
りては我と
膓
(
はらわた
)
を
劈
(
つんざ
)
く。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
色は黒いが、眉目すずやかで、両の耳に珠をかけ、
歩々
(
ほほ
)
の
風
(
ふう
)
にもおのずからな人品が見られ、どことなく、ゆかしい人柄だった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
忽
(
たちまち
)
見る詰襟白服の一紳士ステッキをズボンのかくしに
鉤
(
つる
)
して濶歩す。ステッキの尖
歩々
(
ほほ
)
靴の
踵
(
かかと
)
に当り敷石を打ちて響をなす事恰も
査公
(
さこう
)
の
佩剣
(
はいけん
)
の如し。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その
闘
(
たたかひ
)
の如何に酷烈を極めたるか、如何に
歩々
(
ほほ
)
予を死地に駆逐したるか。予は到底
茲
(
ここ
)
に叙説するの勇気なし。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
道は雲仙の
山脚
(
さんきゃく
)
が海に落ちこんでいる
急峻
(
きゅうしゅん
)
な部分に通じているので、
可
(
か
)
なり険しい絶壁の上を、
屡々
(
しばしば
)
通らなければならぬが、そのために風致は
歩々
(
ほほ
)
展開して行く。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
▼ もっと見る
清国敗北の風評
頻
(
しき
)
りに聞えければ、ハリスはこれを奇貨とし、
歩々
(
ほほ
)
相
薄
(
せ
)
まり、遂に安政四年二月に至っては、当時の閣老堀田備中守をして、外国人接待応接の式方を改めこれを優遇せしめ
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
その
歩々
(
ほほ
)
に
委
(
おと
)
せし血は
苧環
(
をだまき
)
の糸を曳きたるやうに長く
連
(
つらな
)
りて、畳より縁に、縁より庭に、庭より外に
何処
(
いづこ
)
まで、彼は
重傷
(
いたで
)
を負ひて行くならん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そのうちに、諸官はみな、
御車寄
(
みくるまよせ
)
へなだれていった。つづいて後醍醐も准后も立座して、廊を並んで歩みだした。そのとっさ、
歩々
(
ほほ
)
のあいだに、帝は、廉子の横顔をチラと見て言った。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
輙
(
すなは
)
ち橋を渡りて
僅
(
わづか
)
に行けば、日光
冥
(
くら
)
く、山厚く畳み、
嵐気
(
らんき
)
冷
(
ひややか
)
に
壑深
(
たにふか
)
く陥りて、
幾廻
(
いくめぐり
)
せる
葛折
(
つづらをり
)
の、後には
密樹
(
みつじゆ
)
に
声々
(
せいせい
)
の鳥呼び、前には
幽草
(
ゆうそう
)
歩々
(
ほほ
)
の花を
発
(
ひら
)
き、いよいよ
躋
(
のぼ
)
れば
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
その手には左右二つのカスタネットを
秘
(
かく
)
し持ち、戦う鳥となり、柳の
姿態
(
しな
)
となり、
歩々
(
ほほ
)
戛々
(
かつかつ
)
、
鈴々
(
れいれい
)
抑揚
(
よくよう
)
、
下座
(
げざ
)
で吹きならす紫竹の笛にあわせ“
開封
(
かいほう
)
竹枝
(
ちくし
)
”のあかぬけた舞踊の
粋
(
すい
)
を誇りに誇る。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
歩
常用漢字
小2
部首:⽌
8画
々
3画
“歩”で始まる語句
歩
歩行
歩調
歩哨
歩廊
歩合
歩兵
歩板
歩武
歩行出