月末げつまつ)” の例文
つきかはつてからさむさが大分だいぶゆるんだ。官吏くわんり増俸ぞうほう問題もんだいにつれて必然ひつぜんおこるべく、多數たすううはさのぼつた局員きよくゐん課員くわゐん淘汰たうたも、月末げつまつまでほゞ片付かたづいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『心配しなさんな。明日あしたからおれが書き出す。此処こゝへ来てから大分に気分もいのだから。月末げつまつにはうにか成るさ。』
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
その叔父をぢ十年じふねんばかりまへ、七十一で故人こじんになつたが、ほその以前いぜん……こめりやう六升ろくしようでさへ、なかさわがしいとつた、諸物價しよぶつかやすとき月末げつまつ豆府屋とうふやはらひ七圓なゝゑんした。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
貴方あなた、此の月末げつまつからうしませう。田舎と違つて大分街では生活くらしが掛りさうですわ。』
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
実は文芸時評がけないから、原口はらぐちだの何だの二三軒あるいたが、何所どこ月末げつまつで都合がつかない。それから最後に里見の所へ行つて——里見といふのは知らないかね。里見恭助。法学士だ。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
自分の外で働いて取る金額の全部を挙げて細君の手にゆだねるのを例にしていた健三には、それが意外であった。彼はいまだかつて月末げつまつに細君の手から支出の明細書めいさいがきを突き付けられたためしがなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)