日暮ひくれ)” の例文
其の日長左衛門殿どんが山へ箱根竹はこねだけりに行って、日暮ひくれに下りて来ると、山の下で孩児の啼声なきごえがするから、魂消て行って見ると、沢の岸の
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三日目の日暮ひくれに下女が使に来て、御閑おひまならば、旦那様と奥さまと、それから若旦那様に是非今晩御遊びにいらっしゃるようにと云って帰った。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わしもへんはなしだが勘次かんじさんにたのまれたやうなかたちでまあたんだがね、昨日きのふ日暮ひくれとかにそれ、そつちこつちたつちことだつけが、勘次かんじさんもそんなにりい心持こゝろもちつたんでもねえ鹽梅あんべえだし
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
桟橋にどかりと一本いつぽん大鮪はふり出されてありたり日暮ひくれ
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
兄は日暮ひくれとすれすれに来た。大変遅かったじゃありませんかと云った時、帯の間から、金時計を出して見せた。実際六時少し回ったばかりであった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
日暮ひくれどき、入日いりひに濁るもやうち
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
二日ふつかゆきつただけ何事なにごともなくぎた。三日目みつかめ日暮ひくれ下女げぢよ使つかひて、御閑おひまならば、旦那樣だんなさまおくさまと、それから若旦那樣わかだんなさま是非ぜひ今晩こんばん御遊おあそびにらつしやるやうにとつてかへつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あに日暮ひくれとすれ/\にた。大変おそかつたぢやありませんかと云つた時、帯のあひだから、金時計をして見せた。実際六時少しまはつた許であつた。あには例の如く、平気なかほをして、方々見回みまはしてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)