日暮里につぽり)” の例文
角海老かどえびが時計の響きもそゞろ哀れの音を傳へるやうに成れば、四季絶間なき日暮里につぽりの火の光りも彼れが人を燒く烟りかとうら悲しく
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
汽車きしやこゝろざひとをのせて、陸奥みちのくをさしてくだく——れかゝる日暮里につぽりのあたり、もり下闇したやみに、遅桜おそざくらるかとたのは、夕靄ゆふもやそらきざまれてちら/\とうつるのであつた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よるまた円月堂の月見橋のほとりに至れば、東京の火災いよいよ猛に、一望大いなる熔鉱炉ようくわうろを見るが如し。田端たばた日暮里につぽり渡辺町等わたなべちやうとうの人人、路上に椅子いすを据ゑ畳を敷き、屋外をくぐわいに眠らとするもの少からず。
角海老かどゑびが時計の響きもそぞろ哀れのを伝へるやうに成れば、四季絶間なき日暮里につぽりの火の光りもあれが人を焼くけぶりかとうら悲しく
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
……石頭いしあたまかどのある、大出額おほおでこで、くちさかさのへのに、饒舌おしやべりをムツと揉堪もみこたへ、横撫よこなでがくせ鼻頭はなさきをひこつかせて、こいつ、日暮里につぽりけむりより、何處どこかのうなぎぎさうな、團栗眼どんぐりまなこがキヨロリとひかつて
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
角海老かどゑび時計とけいひゞききもそゞろあわれのつたへるやうにれば、四絶間たえまなき日暮里につぽりひかりもれがひとけぶりかとうらかなしく
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)