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「その面構つらがまえでは、問うても容易に口を開くまいが」と、前置きしてほたるりのさきを、廊下の上から突き向けた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金と男ぶりとだけがものをいうのなら、むかしゃ仙台さま殺しゃせぬで、新吉原の傾城高尾けいせいたかおの、大川の船の中での、つるりの伝説は生れはしない。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
それうてさへ、御時節ごじせつ有難ありがたさに、切支丹キリシタン間違まちがへられぬがつけものゝところぢや。あれが生身いきみをんなうて、わしもチヨンられずにんだでがす……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
むかしの苛酷な刑法が十両以上盗んだものは、ざんに処したわけである。もっとも、戦国時代には、一銭りと云って、永楽銭一銭を盗むと斬ってしまったのである。
奉行と人相学 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
伊勢音頭では十人りのところで、ちぎれた胴だの手だの足だのが舞台一面に散乱する。奇抜な方では大江山の鬼退治で、人間の首よりももっと大きな鬼の首が出る。
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「左源太が、ったってやりましょう。左源太は、鬼でも、化物でも、打った斬りますぞ、若」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「おれは、だんぜんこの仇うちをしなければはらえないんだ。幽霊船をみつけ次第、おれはそのうえに飛びのってやる。そして幽霊どもを、これでぶったってやるんだ」
幽霊船の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あずまの佐野の次郎左衛門に似ていて、かねてから気になっていたのだが、やはり東西左右の振られ男であった、私もこうなれば、刀を振りまわして百人りをするかも知れぬ、男の一念
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
いま、たとえこの男を、刀にかけてぶったってみたところで、面白おかしくもない。野暮の骨頂であるのみか、公儀のほうもむつかしい仕儀になって、かえって事態を悪化させるばかりである。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「で、これは家康公の直命じきめいにひとしいのだから、鉱山へいくとちゅうで、イヤのおうのとしぶるやつは、ようしゃなくッたるからさよう心得こころえろ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一角が庭下駄を揃えると共に、ほたるり信国を引っ提げた阿波守、ズカリとそれへ足を進ませるかと思うと——。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三位卿は、安治川屋敷の雪洞ぼんぼりと、阿波守が手に持った、ほたる信国のぶくにの光を想い起こした。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ためりにされるんだ、試し斬りに——」口々に騒ぎたててはいるものの、相手がなまやさしい御家人ごけにんやなんぞと違って、いかにも一癖ありそうなのが、三人までも揃っているので
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「常にご自慢のほたるり信国、とうとう血祭りの御用に成りませんでしたな」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「素町人の大言壮語は片腹痛い。なぶりだぞッ」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「踊るやつは、ぶッたるぞッ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)