挿画さしゑ)” の例文
東京とうきやうの或る固執派オルソドキシカー教会けうくわいぞくする女学校ぢよがつかう教師けうし曾我物語そがものがたり挿画さしゑ男女なんによあるを猥褻わいせつ文書ぶんしよなりとんだ感違かんちがひして炉中ろちう投込なげこみしといふ一ツばなし近頃ちかごろ笑止せうしかぎりなれど
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
真逆様に四番目の男のそばを遥かの下に落ちて行つた話などが、幾何いくつとなく載せてあつた間に、錬瓦れんぐわかべ程急な山腹さんぷくに、蝙蝠かうもりの様にひ付いた人間にんげんを二三ヶ所点綴した挿画さしゑがあつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
夫人の眼にはおてんと様と博士の顔とむかし読むだロビンソン・クルウソウの挿画さしゑがごつちやになつてくるくる舞ひをするやうに思はれた。夫人はいきなり船室ケビンに駈け込んで横に倒れた。
面白いのは銅版画の挿画さしゑに、どれも支那人がいてある事である。Beautiful の宮殿へ来た所なども、やはり支那風の宮殿の前に、支那人の Christian が歩いてゐる。
本の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
拾号じふがうからはまた大いに躰裁ていさいあらためて(十月廿にぢう五日出版しゆつぱん頁数ページすうばいにして、別表紙べつびやうしけて、別摺べつずり挿画さしゑを二まい入れて、定価ていかを十せんに上げました、表紙は朱摺しゆずり古作者印譜こさくしやいんぷ模様もやうで、かたちは四六ばい
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
なぞも有れば画探ゑさがしも有る、はじめはうには小説をかゝげて、口画くちゑ挿画さしゑも有る、これすべて社員の手からるので、筆耕ひつこう山田やまだわたしとで分担ぶんたんしたのです、山田やまだ細字さいじ上手じやうづに書きました、わたしのははなはきたな
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)