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拮抗
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きっこう
ふりがな文庫
“
拮抗
(
きっこう
)” の例文
幾世紀をも通り越す人々、死よりもさらに強い人々は、ただ不幸のうちにおいてのみ知らるる。不幸に
拮抗
(
きっこう
)
し得る者はきわめて少ない。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
これに美濃、伊勢の信孝、一益の国力を加え、ようやく、ほぼ敵と
拮抗
(
きっこう
)
し得る六万二千人の兵力を持ちうることになるのだった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
実際同じ会場に懸かっている大小さまざまな画の中で、この一枚に
拮抗
(
きっこう
)
し得るほど力強い画は、どこにも見出す事が出来なかったのである。
沼地
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
茶漬けの中でも、もっとも
美味
(
うま
)
いもののひとつに、はもの茶漬けがある。これは
刺身
(
さしみ
)
でやるたい茶漬けと
拮抗
(
きっこう
)
する美味さだ。
鱧・穴子・鰻の茶漬け
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
明治年代、西洋人情噺を
以而
(
もって
)
、よく大
円朝
(
えんちょう
)
、初代
燕枝
(
えんし
)
に
拮抗
(
きっこう
)
したる存在に、英国人の落語家快楽亭ブラックがあった。
探偵小説の「謎」
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
またどんな下等な者でもこの公徳を重んぜぬ者はない。悲しいかな、我が日本に
在
(
あ
)
っては、
未
(
ま
)
だこの点において外国と
拮抗
(
きっこう
)
する事が出来んのである。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
会津中将松平容保が薩長の
執拗
(
しつよう
)
な江戸追討を憤って、単身あくまでもその暴虐横暴に
拮抗
(
きっこう
)
すべく、孤城若松に立て籠ってから
丁度
(
ちょうど
)
六日目のことだった。
十万石の怪談
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
今これを春信について見るに春信は宝暦年代にありては
鳥居清満
(
とりいきよみつ
)
と
拮抗
(
きっこう
)
し、明和に入りて
嶄然
(
ざんぜん
)
として頭角を現はすや、当時の浮世絵は
悉
(
ことごと
)
く春信風となれり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
拮抗
(
きっこう
)
を研究することによって憤怒を解くことが、その目的であり、またその結果であらねばならない。それは調査し
穿鑿
(
せんさく
)
し解剖し、次にまた再び組み立てる。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
明治時代には「紅露」といわれて、紅葉と露伴とが二大作家として
拮抗
(
きっこう
)
していたが、師匠思いの鏡花は、そんな関係から露伴には妙な敵意を感じていたらしい。
文壇昔ばなし
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
が、この勢力は他の文人が各々孤立していたと反して団体的に築き上げたのだから、これと
拮抗
(
きっこう
)
する他の団体が生ずれば自然に気勢を
削
(
そ
)
がれるのは当然であった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
一日も早く西洋の科学を消化して列国に
拮抗
(
きっこう
)
しなければ、支那もまた、いたずらに老大国の自讃に酔いながら、みるみるお隣りの
印度
(
インド
)
の運命を追うばかりであろう。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ないしはあらゆる改革に対して不安を抱こうとする階級の批判に
拮抗
(
きっこう
)
して、はたしてどの程度にまで現代日本の文化を価値づけることができるかという問題である。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
後に、玉井金五郎と生涯の盟友となって、吉田磯吉一派と
拮抗
(
きっこう
)
した井上安五郎の、まだ若い胸の中に、このとき、なにかのはげしいものが、燃えあがったようであった。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
男の作家たちに
拮抗
(
きっこう
)
してゆこうなどとはつゆ思わないけれども、せめて、もう一段背のびをしてみたいと思っている。——
室生
(
むろう
)
さんのこの頃のお仕事の
逞
(
たくま
)
しいのに
愕
(
おどろ
)
いている。
生活
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
ましてそれらに
拮抗
(
きっこう
)
し得る力と深さとに
充
(
み
)
ちるものは
稀
(
まれ
)
だといわねばならぬ。偉大である支那の前に、優雅である朝鮮の前に、私たちは私たちの藝術を無遠慮に出すことが出来ぬ。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
新しい時代の潮流に
棹
(
さお
)
を入れようとするものと古い塔をまもりぬこうとするものと、この二つはいま日本じゅう到るところで
拮抗
(
きっこう
)
している、水戸だってその例から洩れはしないのだ
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
たとい他人の思想を受け容れたものでも第二の個性に由って着色され変形されないものはないのですから、万人万様の思想が存在するのは当然の事で、それらの思想が
拮抗
(
きっこう
)
し、比較し、補正し
激動の中を行く
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
以て男子に
拮抗
(
きっこう
)
せしめんとするの考案なきにあらず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そして一日でも一時間でも早く、わがアメリカの軍需生産量に
拮抗
(
きっこう
)
しようとしているのです。日本の全国工場化の猛進ぶりは実に恐るべきものがあります。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
もしこの親方の人格が強烈で
四辺
(
しへん
)
の風光と
拮抗
(
きっこう
)
するほどの影響を余の頭脳に与えたならば、余は両者の間に立ってすこぶる
円枘方鑿
(
えんぜいほうさく
)
の感に打たれただろう。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いま曹操の実力と
拮抗
(
きっこう
)
し得る国はわが河北か貴国の呉しかありません。その両家がまた相結んで南北から呼応し、彼の腹背を攻めれば、曹操がいかに
中原
(
ちゅうげん
)
に
覇
(
は
)
を
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「市井的で商人的で平和的でイギリス的な」社会主義を
唾棄
(
だき
)
して、世界は「
拮抗
(
きっこう
)
をもって法則とし、」犠牲に、たえず繰り返される常住の犠牲に生きてるという
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
文字の新威力に
拮抗
(
きっこう
)
して、いかに忠実にその本文を尽くし、むしろおうおうにして彼にあっては不可能なりしものを、いかにたやすくなしとげていたかを考えるために
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
杉浦と
拮抗
(
きっこう
)
して大いに雄飛しようとし、あたかも
哈爾賓
(
ハルビン
)
に手を伸ばして新たに支店を開こうとする際であったから、どういう方面に二葉亭の力を煩わす
意
(
つもり
)
があったか知らぬが
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
“拮抗”の意味
《名詞》
拮 抗(きっこう(百姓読みであるが慣用として認められる)、けっこう; 別表記:頡頏)
勢力がほぼ等しいもの同士が、互いに対抗して張り合っていること。
(出典:Wiktionary)
拮
漢検1級
部首:⼿
9画
抗
常用漢字
中学
部首:⼿
7画
“拮”で始まる語句
拮据
拮々
拮屈
拮蟠
拮据勉励