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戛然
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かつぜん
ふりがな文庫
“
戛然
(
かつぜん
)” の例文
と、跳び上がったが、その叫びも終らないうちに、後ろにまわっていた武士の手から、
戛然
(
かつぜん
)
、大剣は鳴って、その首すじへ振り落された。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
といいながら挙げたる手をはたと落す。かの腕輪は再びきらめいて、玉と玉と撃てる音か、
戛然
(
かつぜん
)
と瞬時の響きを起す。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
とたんに鉄棒
空
(
くう
)
に躍って
頭
(
こうべ
)
を目懸けて
曳
(
えい
)
! と下す。さしったりと身を交せば、
狙
(
ねら
)
い
外
(
はず
)
れて
発奮
(
はずみ
)
を打ち路傍の岩を
真二
(
まっぷた
)
つ。石鉄
戛然
(
かつぜん
)
火花を散らしぬ。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこへ、潮どきを見はからつた小幡氏が、わざと
戛然
(
かつぜん
)
たる靴音を二つ三つ響かせながら、ヴェランダに降りてきた。
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
いっさいのなぞがその陳述によって解きあかされましたものでしたから、右門の全能力はここに
戛然
(
かつぜん
)
と音を発せんばかりに奮い起こりました。第一はその
侠気
(
おとこぎ
)
です。
右門捕物帖:11 身代わり花嫁
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
▼ もっと見る
その途端に、わが牛の鼻を抑えていた飼主は呼吸をはかって互いに
鼻糜
(
はなげ
)
を抜いた。鼻糜を抜くや
戛然
(
かつぜん
)
たる響きが見物席へ伝わった。火を発するのではないかと思った。角と角と力相
搏
(
う
)
ったのだ。
越後の闘牛
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
急角度旋回の秘法は見事に
極
(
きま
)
って、あっと言う間もなく、怨讐二つの飛行具は、
戛然
(
かつぜん
)
として空中に噛み合ったと見るや、絡み合ったまま、幾百千丈の谷底へ——、キリキリと轉落して行ったのです。
天保の飛行術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
袋の中から
戛然
(
かつぜん
)
の音と共に散乱して溢れ出たのは目を衝く様な無数の光る物である、薄暗い室の中に、秀子の持って居る手燭の光を反映し、殆ど天上の星を悉く茲へ落したかと怪しまるる許りである
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
戛然
(
かつぜん
)
として鳴りひゞき、足とき駒はをののけり。 295
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
振り向いた頭上から、
戛然
(
かつぜん
)
、一
閃
(
せん
)
の白刃がおりてきた。どうかわす間も受ける間もない。魏延の首は血煙を噴いてすッ飛んだ。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
右手を
伸
(
の
)
べて、輝くものを
戛然
(
かつぜん
)
と鳴らすよと思う
間
(
ま
)
に、
掌
(
たなごころ
)
より滑る鎖が、やおら畳に落ちんとして、一尺の長さに
喰
(
く
)
い
留
(
と
)
められると、余る力を横に抜いて、
端
(
はじ
)
につけた
柘榴石
(
ガーネット
)
の飾りと共に
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
秋の水は澄み切って、
鮎
(
あゆ
)
の
鰭
(
ひれ
)
ほどの曇りもないから、
差覗
(
さしのぞ
)
くと、浅い底に、その銀の平打の簪が映って、
流
(
ながれ
)
が糸のようにかかるごとに、小石と相撃って、
戛然
(
かつぜん
)
として響くかと、伸びつ、縮みつする。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
怒の神の肩の上、矢は
戛然
(
かつぜん
)
と鳴りひびく。
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
彼に比して、織部の槍は、細目だったせいか、
戛然
(
かつぜん
)
、けら首のあたりからポキンと折れて、その穂先だけが、あたかも氷片のように遠くへ飛んだ。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は、棒をとって、立ち向ったのだが、
戛然
(
かつぜん
)
、白刃と棒が相
搏
(
う
)
ッたと思うやいな、どこをどうして打ち込んでいたのか、誰の眼にもとまらなかった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夜叉
(
やしゃ
)
のごとく荒れまわった忍剣は、
突
(
とつ
)
として、いっぽうの
捕手
(
とりて
)
をかけくずし、そのわずかなすきに、ふたたび
鷲
(
わし
)
の
鎖
(
くさり
)
をねらって、一念力、
戛然
(
かつぜん
)
とうった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戛然
(
かつぜん
)
——。関羽の
偃月
(
えんげつ
)
の柄と交叉して、いずれかが折れたかと思われた。逸駿赤兎馬は、主人とともに戦うように、わっと、口をあいて
悍気
(
かんき
)
をふるい立てる。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だがもう、
鷲
(
わし
)
に追いつめられた
隼
(
はやぶさ
)
だった。つきまとう木剣の下に、
戛然
(
かつぜん
)
と、槍が折れた。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一颯
(
いっさつ
)
の光は
戛然
(
かつぜん
)
と鳴った。宗治は、自分に先立つ道づれを、涙とつるぎの下に見た。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日月二刀のひらめきが彼の身をかすめ、それを
庇
(
かば
)
おうとした誰か一人は馬上からずんと斬り下げられていた。
戛然
(
かつぜん
)
と、
戟
(
ほこ
)
の
柄
(
え
)
がつづいて斬られた。暗さは暗しである。宋江は危なかった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
という、半助のののしりに
消
(
け
)
され、それと同時に、
戛然
(
かつぜん
)
と
剣
(
けん
)
がひらめいた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
戛然
(
かつぜん
)
、抜き払った一閃の下に、于吉の首を刎ねてしまった。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その首を前へのばすや否や、
戛然
(
かつぜん
)
、剣は彼の
頸
(
うなじ
)
を断った。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そういって、
戛然
(
かつぜん
)
と、抱いていた物干竿の
柄
(
つか
)
を鳴らし
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戛然
(
かつぜん
)
と、二度目の剣が、空間に鳴った。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戛
漢検1級
部首:⼽
11画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“戛”で始まる語句
戛々
戛
戛玉