トップ
>
慈
>
いつくし
ふりがな文庫
“
慈
(
いつくし
)” の例文
乃至
(
ないし
)
は最初の印象を、思い出として心のなかで
慈
(
いつくし
)
んでいるのがほんとうかもしれぬ。改めて観察しようというのが不心得なのであろう。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
何故なら、濡れたがらくたの堆積の間に、春は植物を
慈
(
いつくし
)
んでゐた——草や雜草などが、石や落ちた
棰
(
たるき
)
の間のあちこちに生えてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
されども
堰
(
せき
)
敢
(
あ
)
へず流るるは恩愛の涙なり。彼を
憚
(
はばか
)
りし父と彼を
畏
(
おそ
)
れし母とは、決して共に子として彼を
慈
(
いつくし
)
むを忘れざりけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
父は早く死んだけれども、母は長く僕を愛し
慈
(
いつくし
)
んで呉れた。にも係らず、僕は絶えず他に父母を求めているのだ。この事については、最早長くは書くまい。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
さういふ僕たちを恰も
慈
(
いつくし
)
むかのやうに、マントル・ピイスの上から、この夏釋迢空さんが僕たちのために書いて下すつた朱の短册が、森嚴に見下ろしてゐる。
山日記その二
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
▼ もっと見る
慈
(
いつくし
)
み深かりし姉上、われはわが小親と別るるこの悲しさのそれをもて、救うことをなし得ざる姉上、姉上が楓のために陥りたまいしと聞く、その境遇に報い参らす。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
日常、姜維の才を磨いてやることは、珠を
愛
(
め
)
でる者が珠の光を
慈
(
いつくし
)
むようであった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は道ばたの
無花果
(
いちじゆく
)
を呪つた。しかもそれは無花果の彼の予期を裏切つて一つも実をつけてゐない為だつた。あらゆるものを
慈
(
いつくし
)
んだ彼もここでは半ばヒステリツクに彼の破壊力を
揮
(
ふる
)
つてゐる。
西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ば
寶澤
(
はうたく
)
と改めける感應院は元より妻も子もなく
獨身
(
どくしん
)
の事なる故に寶澤を
實子
(
じつし
)
の如く
慈
(
いつくし
)
みて
育
(
そだて
)
けるが此寶澤は
生
(
うまれ
)
ながらにして
才智
(
さいち
)
人に
勝
(
すぐ
)
れ
發明
(
はつめい
)
の性質なれば
讀經
(
どくきやう
)
は
云
(
いふ
)
に
及
(
およば
)
ず其他何くれと
教
(
をしゆ
)
るに一を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
相場師夫婦は眞の親も及ばない程千登世を
慈
(
いつくし
)
んで、彼女の望むまゝに土地の女學校を卒業さした上更に臨時教員養成所にまで進學さしてくれたのだが、業
半
(
なかば
)
でその家が經濟的に全く崩壞してしまひ
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
彼の友であり彼を
慈
(
いつくし
)
み、普通のとおり彼よりいっそう
炯眼
(
けいがん
)
である一人の作家が、彼のつつましい
揺籃
(
ようらん
)
をのぞきこんで、
汝
(
なんじ
)
は十二、三人の
昵懇
(
じっこん
)
者の範囲外にふみ出すことはなかろうと予言したときから
ジャン・クリストフ:13 後記
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
、
ロマン・ロラン
(著)
……実は、あの老母が、幼少から
慈
(
いつくし
)
んでいた末娘が、近頃
病
(
やまい
)
のため、母のことのみ申し、うわ言にも、母よ母よと恋い、起きても、会いたや、一ト目会いたやと、泣き
慕
(
しと
)
うてやまぬのでおざる
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“慈”の解説
慈(じ)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
慈
常用漢字
中学
部首:⼼
13画
“慈”を含む語句
慈愛
慈悲
慈母
御慈悲
慈悲心鳥
仁慈
慈悲深
慈眼
慈善
慈善市
慈姑
御仁慈
大慈
慈光寺
山慈姑
慈悲善根
慈眼視衆生
御慈愛
慈光
慈愍
...