愛相あいさう)” の例文
客の多くは、お愛相あいさうぶりにその石を受取りはするが、石は女の手のやうに暖かではないので、その儘そつと畳におかない訳にかない。
それといふのが、はじまりは嬢様ぢやうさまが、それ、馴染なじみ病人びやうにんには毎日まいにちかほはせるところから、愛相あいさうの一つも、あなたおいたみますかい、甚麼どんなでございます
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
愛相あいさうの好い顏をして出迎へた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
時雨女史は原稿取りに来た男をも、自分を口説きに来た男と同じやうに、愛相あいさうよく迎へるすべを知つてゐる女の一にんである。
この朝顏あさがほ夕顏ゆふがほつゞいて、藤豆ふぢまめ隱元いんげん、なす、さゝげ、たうもろこしのなへ、また胡瓜きうり糸瓜へちま——令孃方れいぢやうがた愛相あいさうに(お)のをつけて——お南瓜たうなすなへ、……と、砂村すなむらせいぞろひにおよんだ、一騎當千いつきたうせん
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
王様はすつかり上機嫌になつて、にこにこしてゐたが、帰り際に大きな手を出して真珠のやうな可愛かあいらしい女優の手を握つた。そして精一杯のお愛相あいさうをぶちまけた。
かしこまりました。」婦人運転手は愛相あいさうよく答へた。「それ迄に屹度お迎へにあがります。」
と支配人がお愛相あいさうをいふと、カアネギーは気の毒さうに支配人の顔を見つめながら言つた。
「全く恐ろしいことでした……」滑稽作家はその男の頭を見ながら、お愛相あいさうのやうに一つうなづいてみせた。「ところが、その一刹那に私の頭にある考へが電光いなづまのやうにひらめきました。 ...
取り出さうとするには、自分で自分に愛相あいさうが尽きて、あとで胸が悪くなる位のことをいはなくつちや、何の効目ききめがあるものか。むかうからおだてられて、いゝ気になつてゐるなぞ若い、若い。
ある時若い画家ゑかきが女史を訪れて来て、肖像画をかせて呉れと頼んだ。「阿母おつかさん」はぷくぷくした自分のしたぱらあたりを眺めて、逡巡もぢ/\してゐると、若い画家ゑかきはにこ/\しながら一寸愛相あいさうをいつた。
ある男が慶応大学の鎌田かまだ栄吉氏に、ほんの愛相あいさうのつもりで
「好きですよ。貴女あなたは?」チヤアチルは愛相あいさうよく言つた。
と、幾らかお愛相あいさうのつもりで言つたものだ。
大統領は愛相あいさうよく言葉をかけました。