トップ
>
惨
>
みじめ
ふりがな文庫
“
惨
(
みじめ
)” の例文
旧字:
慘
おとらは不機嫌なお島の顔を見ると、お島が七つのとき初めて、人につれられて貰われて来た時の
惨
(
みじめ
)
なさまを掘返して聞せた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
皇帝
(
ツアール
)
の位から滑り落ちたニコラス二世以上に
惨
(
みじめ
)
だと言つていゝ。愛は露西亜帝国よりもずつと大きいからである。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
寄る年と共にますます耳は遠くなり、貧乏教会の牧師で自身の貯金も使い果した後は、
随分
(
ずいぶん
)
惨
(
みじめ
)
な生活でした。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
惨
(
みじめ
)
たらしいお姿を見せないようになさるのが武士の情けとやらではございますまいか、お武家でなくてもそうでござんすね、普通の人情としても、人間の
亡骸
(
なきがら
)
なんぞは
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
昨日
(
きのふ
)
よりも色が蒼く、眼が物狂はしいやうな、不気味な色を帯びてゐた。瑠璃子もなるべく父の顔を見ないやうに、俯いたまゝ食事をした。それほど、父の顔は
傷
(
いたま
)
しく
惨
(
みじめ
)
に見えた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
ニューヨークのあの摩天楼の
櫛比
(
しっぴ
)
した上に巨大な破壊力がおちかかる時の光景を想像すれば、どんな蒙昧な市民も、それが、ノア洪水より、
惨
(
みじめ
)
な潰滅の姿であることを理解するだろう。
平和への荷役
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
物質の分配がどうだの、理想がどうだの、何イズムだのと陰に陽にお祭り騒ぎして居るけれど、人間なんて、本当の処は
桶
(
おけ
)
の底のウジのようにうごめき暮らして居る
惨
(
みじめ
)
な生物に過ぎないんですな。
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
懐
(
なつか
)
しいと思ふこともあつたり、
惨
(
みじめ
)
な目にあつてゐるであらうと思ふこともあつたりすることはあるが、彼はすぐに気が
昂
(
たかぶ
)
つて、あの事がすつかり
露顕
(
ばれ
)
てしまふ様になつた
良人
(
をつと
)
の
頓間
(
とんま
)
さを思ひ返しては
夜烏
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
だが、又しても妾は、そこで
惨
(
みじめ
)
なジョージ・佐野の地獄に墜ちたような姿を見るのでした。彼は妾達には気がつかないようでした。佐野は最後の百
法
(
フラン
)
をルーレット係に渡して白札を求めているのです。
バルザックの寝巻姿
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
船腹の色のはげ落ちた
惨
(
みじめ
)
さは
碇泊船
(新字新仮名)
/
今野大力
(著)
瑠璃子もなるべく父の顔を見ないように、
俯
(
うつむ
)
いたまゝ食事をした。それほど、父の顔は
傷
(
いたま
)
しく
惨
(
みじめ
)
に見えた。昼の食事に顔を合した時にも、親子は言葉らしい言葉は、交さなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
人が
喰合
(
くいあ
)
う都会では、人口の増加は
苦痛
(
くつう
)
の問題だが、自然を相手に人間の
戦
(
たたか
)
う田舎の村では、味方の人数が多い事は何よりも力で
強味
(
つよみ
)
である。
小人数
(
こにんず
)
の家は、田舎では
惨
(
みじめ
)
なものだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
作とお島との
婚礼談
(
こんれいばなし
)
が、遠方の取引先などで、
意
(
おも
)
いがけなくお島の耳へ入ったりしてから、お島は一層
分明
(
はっきり
)
自分の
惨
(
みじめ
)
な今の身のうえを見せつけられるような気がして、腹立しかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
何によらず小さいのは
惨
(
みじめ
)
なものだが、とりわけ政治家の小さいのは気の毒なものだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
女の睨みが
緩
(
ゆる
)
んで来ると
惨
(
みじめ
)
なベソの様な表情が現れて来た。
ドーヴィル物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
紙鳶
(
たこ
)
すら自由に飛ばされず、
毬
(
まり
)
さえ思う様にはつけず、電車、自動車、馬車、人力車、自転車、
荷車
(
にぐるま
)
、馬と
怪俄
(
けが
)
させ器械の引切りなしにやって来る東京の町内に
育
(
そだ
)
つ子供は、本当に
惨
(
みじめ
)
なものだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
お島の目には
惨
(
みじめ
)
らしく滑稽にみえた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
“惨”の意味
《形容動詞》
みじめなさま。
(出典:Wiktionary)
惨
常用漢字
中学
部首:⼼
11画
“惨”を含む語句
惨酷
悲惨
凄惨
無惨
惨状
惨死
惨虐
惨々
惨憺
惨澹
悽惨
陰惨
惨劇
惨害
見惨
悲雨惨風
惨刑
惨禍
惨殺
惨敗
...