怖々こわ/″\)” の例文
横の方へ廻るとつが面取格子めんとりごうししまって居りますから、怖々こわ/″\格子を開けると、車が付いて居りますから、がら/\/\と音がします。
一日いちじつに二三回位怖々こわ/″\ながらためしてゐるうちに、うやら、ウエーバーと同じ様になりさうなので、急に驚ろいて已めにした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とまた側にる侍の笠を取ろうと手を掛けますと、一人は其の場をはずして逃げようとするうしろから、立花屋の忰が怖々こわ/″\ながら渋団扇で合図をいたしました。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三四郎は其日から四日よつかとこを離れなかつた。五日いつか目に怖々こわ/″\ながら湯にはいつて、鏡を見た。亡者の相がある。思ひ切つて床屋とこやつた。そのあくは日曜である。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
怖々こわ/″\其の人をすかして見ると、藪の処に立って居るは年の頃三十八九の、色の白い鼻筋の通って眉毛の濃い、月代さかやきう森のように生えて、左右へつや/\しく割り
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
怖々こわ/″\あがって縁側伝いに参りまして、居間へ通って見ますと、一間いっけんは床の間、一方かた/\地袋じぶくろで其の下に煎茶せんちゃの器械が乗って、桐の胴丸どうまる小判形こばんがたの火鉢に利休形りきゅうがた鉄瓶てつびんが掛って
安兵衞が生垣の外から怖々こわ/″\覗いて見ると、金重の弟子の恭太郎という馬鹿な奴があがはなに腰を掛けて、足をブラ/\やって遊んで居りまする。奥に叔母のおしのが居ります。
怖々こわ/″\奥の障子を明けると、寝衣ねまきの上へ広袖を羽織ったなり、片手を突いて坐って居て
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
障子越しに長物ながもので突殺せば、大野惣兵衞から五十両褒美をくれるというので、慾張った奴で、剣術は少し心得ておりますが、至って臆病者でございます、怖々こわ/″\様子をうかゞいますと
怖々こわ/″\石垣の上へあがり匍這はらばいになって木戸のところまでってまいり、様子をきゝますと内のものは外に人がいると知りません模様で、しきりに錠を外そうといたしておりますから
びっくりして、新吉が、段々怖々こわ/″\ながら細かに読下すと、今夢に見た通り、谷中七面前、下總屋の中働お園に懸想けそうして、無理無体に殺害せつがいして、百両を盗んで逃げ、のち捕方とりかたに手向いして
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
良人のために此の客衆を殺そうと思い、一生懸命に怖々こわ/″\ながら屏風を明けて中へ這入り、稻垣小三郎を殺そうと致しまして、嗜みの合口を取出し、鞘を払って行灯の許へ来て見ると
今になって出て来たのではないか、何事も無ければいがと怖々こわ/″\にお千代が野菊白菊の入った箱を長助の眼の前へ差出しますと、作左衞門が最前検めて置いた皿の毀れる気遣いはない
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
傳次は馴れて居るから逃げましたが、庄吉は怖々こわ/″\縁の下へ段々這入りますと、先に誰か逃込んで居るから其の人の帯へつかまると、捕物とりものの上手な源藏げんぞうと申す者がもぐってり、庄吉の帯をとらえて
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おきんは是れは屹度きっと斬ると思い、怖々こわ/″\ながらあがって来て
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)