年來としごろ)” の例文
新字:年来
他處目よそめうらやましうえて、面白おもしろなりしが、旦那だんなさまころはからひの御積おつもりなるべく、年來としごろらぬことなきいへきをばかり口惜くちをしく
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しやうにしつらひ、年來としごろ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
我れも嬉しき一人に成りて、すべての願ひ、望み、年來としごろむねに描きし影を夢なりけりと斷念おもひきり、幾ほどもなき老らくの末を、斯くて此まゝやさしき婆々樣に成りて送らばや
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なんことだに心配しんはい無用むよう小梅こうめ八木田やぎた年來としごろ持物もちもので、ひとにはゆびをもさゝしはせぬ、ことにはせがれ、はなくにつて紫蘇葉しそはにつゝまれようとものだに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
別亭はなれ洒落しやれたるがありて、名物めいぶつまつがありてと父君ちヽぎみ自慢じまんにすがり、わたく年來としごろまヽくらして、此上このうへのおねがひはまうしがたけれど、とてもの其處そこおくらしてはたまはらぬか、甚之助樣じんのすけさま成長おうきうならば
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)