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へいさ
ふりがな文庫
“
平沙
(
へいさ
)” の例文
すると、
蕭々
(
しょうしょう
)
たる
平沙
(
へいさ
)
や
葭
(
よし
)
の
彼方
(
かなた
)
にあたって、一
吹
(
すい
)
の
犀笛
(
さいぶえ
)
が聞えたと思うと、たちまち、
早鉦
(
はやがね
)
や太鼓がけたたましく鳴りひびいた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、行けども、行けども、十里の
平沙
(
へいさ
)
で、一方は海の波の音ばかり——暫くして、ようやく一つの人影を認めました。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
匈奴
(
きょうど
)
はまたしても、元の遠巻き戦術に
還
(
かえ
)
った。五日め、漢軍は、
平沙
(
へいさ
)
の中にときに
見出
(
みいだ
)
される
沼沢地
(
しょうたくち
)
の一つに踏入った。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
然
(
しか
)
りといえども識者の眼識は境遇の外に超逸す。
熊沢蕃山
(
くまざわばんざん
)
の如き、その一人なる
莫
(
な
)
からんや。彼は
跛
(
びっこ
)
の
駝鳥
(
だちょう
)
なれども、なお万里の
平沙
(
へいさ
)
を
奔
(
はし
)
らんとする雄気あり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
対岸の
平沙
(
へいさ
)
の上にM山が
突兀
(
とっこつ
)
として富士型に
聳
(
そび
)
え、見詰めても、もう眼が痛くならない光の落ちついた夕陽が、銅の
襖
(
ふすま
)
の引手のようにくっきりと重々しくかかっている。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
洲股
(
すのまた
)
ノ駅ヲ経テ小越川ニ
到
(
いた
)
ル。
蘇峡
(
そきょう
)
ノ下流ニシテ、
平沙
(
へいさ
)
奇白、
湛流
(
たんりゅう
)
瑠璃
(
るり
)
ノ如ク
碧
(
あお
)
シ。麗景
掬
(
きく
)
スベシ。午ニ近クシテ四谷ニ
憩
(
いこ
)
ヒ、酒ヲ命ズ。
薄醨
(
はくり
)
口ニ上ラズ。
饂麺
(
うんめん
)
ヲ食シテ去ル。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
輪郭
(
りんかく
)
の
滲
(
にじ
)
んだ満月が中空に浮び、洞庭湖はただ白く
茫
(
ぼう
)
として空と水の境が無く、岸の
平沙
(
へいさ
)
は昼のように明るく柳の枝は湖水の
靄
(
もや
)
を含んで重く垂れ、遠くに見える桃畑の
万朶
(
ばんだ
)
の花は
霰
(
あられ
)
に似て
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
白石
(
はくせき
)
手簡
(
しゆかん
)
に八景のはじめは宋人か元人かにて宋復古と申す畫工云々とあるが、それは夢溪筆談に出てゐる度支員外郎
宋迪
(
そうてき
)
の事で、
平沙
(
へいさ
)
落雁
(
らくがん
)
、
遠浦
(
ゑんぽ
)
歸帆
(
きはん
)
、
山中
(
さんちゆう
)
晴嵐
(
せいらん
)
、
江天
(
こうてん
)
暮雪
(
ぼせつ
)
、
洞庭
(
どうてい
)
秋月
(
しうげつ
)
、
瀟湘
(
せうしやう
)
夜雨
(
やう
)
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
場所は熱田の神宮の東に続く
平沙
(
へいさ
)
の地であった。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
舟は
難波
(
なにわ
)
ノ
津
(
つ
)
(大阪)の
平沙
(
へいさ
)
や芦やまばら屋根を横に見つつ、まだ
午
(
ひる
)
まえも早目に、
長柄
(
ながら
)
の河口に着いていた。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
李陵自身毎日前山の頂に立って四方を
眺
(
なが
)
めるのだが、東方から南へかけてはただ
漠々
(
ばくばく
)
たる一面の
平沙
(
へいさ
)
、西から北へかけては樹木に乏しい丘陵性の山々が連なっているばかり
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
敵の追撃をふり切って夜目にもぼっと白い
平沙
(
へいさ
)
の上を、のがれ去った部下の数を数えて、確かに百に余ることを確かめうると、
李陵
(
りりょう
)
はまた峡谷の入口の
修羅場
(
しゅらば
)
にとって返した。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
廊、また廊を曲がって“
平沙
(
へいさ
)
ノ庭”とよぶ
坪
(
つぼ
)
の中橋を渡ると、執権御所の
錠口
(
じょうぐち
)
だった。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
芦
(
あし
)
と
平沙
(
へいさ
)
と、
渺
(
びょう
)
として、ただ水である。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“平沙”の意味
《名詞》
広く平坦な砂原。
(出典:Wiktionary)
平
常用漢字
小3
部首:⼲
5画
沙
常用漢字
中学
部首:⽔
7画
“平沙”で始まる語句
平沙渺漠
平沙渺々