おほき)” の例文
拙者せつしやふるくから此石とは馴染なじみなので、この石の事なら詳細くはししつて居るのじや、そもそも此石には九十二のあながある、其中のおほきあなの中にはいつゝ堂宇だうゝがある
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
さくらか、海棠かいだうかとおもふ、おほきなつゝじの、燃立もえたつやうなのをうゑて、十鉢とはちばかりずらりとならべた——べにながしたやうなのは、水打みづうつた石疊いしだたみかげうつつたのである。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
山里やまざとを、汽車きしやなかで、ほとんとりこゑかなかつたかれは、何故なぜか、谷筋たにすぢにあらゆる小禽せうきんるゐが、おほき獵人かりうどのために狩盡かりつくされるやうなおもひして、なんとなく悚然ぞつとした。それ瞬時しゆんじで。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)