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川口
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かはぐち
川口の、
葦のたくさん
生えてゐる、その
葦の
先の
葉が、みんなとれてゐる。これは、
誰が
折つたのかと
申しますと、それは、
私です。
加賀の
大野、
根生の
濱を
歩行いた
時は、
川口の
洲の
至る
所、
蘆一むらさへあれば、
行々子の
聲が
渦を
立てた、
蜷の
居る
渚に
寄れば、さら/\と
袖ずれの、あしのもとに、
幾十羽ともない
戎克の
帆赭き色してたかだかとゆく
揚子江の
川口わたる
「大阪の
川口のやうな
処だね。」
岩はなをば、
漕ぎ
廻つて
行くごとに、そこに
一つづゝ
展けて
來る、
近江の
湖水のうちのたくさんの
川口。そこに
鶴が
多く
鳴き
立てゝゐる。
八十の
湊といふのは、ひょっとすると、
土地の
名前で、
今の
野洲川の
川口をいつたのかも
知れません。さうすると、
歌の
意味が、しぜん
變つて
來ます。