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巌頭
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がんとう
ふりがな文庫
“
巌頭
(
がんとう
)” の例文
やがて、三名が、
浪飛沫
(
なみしぶき
)
の
巌頭
(
がんとう
)
から足をめぐらして、土産物屋の前を通りかかると、
先刻
(
さっき
)
から眸を放たずにいた武家とその娘が
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
恐々
(
こわごわ
)
ながら
巌頭
(
がんとう
)
に四つん
這
(
ば
)
いになると、数十丈遥か下の滝壺は
紺碧
(
こんぺき
)
を
湛
(
たた
)
えて、白泡
物凄
(
ものすご
)
く
涌
(
わ
)
き返るさま、とてもチラチラして長く見ていることが出来ぬ。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
生死
巌頭
(
がんとう
)
に立って、をかしいぞ、はてな、をかしい、はて、これはいかん、あいた、いた、いた、いた、いた
楢ノ木大学士の野宿
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
折る者がなかったしかるに天は
痛烈
(
つうれつ
)
な試練を
降
(
くだ
)
して生死の
巌頭
(
がんとう
)
に
彷徨
(
ほうこう
)
せしめ
増上慢
(
ぞうじょうまん
)
を打ち
砕
(
くだ
)
いた。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
主人は「帰るかい」と云った。武右衛門君は
悄然
(
しょうぜん
)
として薩摩下駄を引きずって門を出た。
可愛想
(
かわいそう
)
に。打ちゃって置くと
巌頭
(
がんとう
)
の
吟
(
ぎん
)
でも書いて
華厳滝
(
けごんのたき
)
から飛び込むかも知れない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
彼
(
か
)
の『
巌頭
(
がんとう
)
の感』は失恋の血涙の紀念です、——彼が言ふには、我輩は
彼女
(
かのぢよ
)
を思ひ浮かべる時、此の
木枯
(
こがらし
)
吹きすさぶが如き
荒涼
(
くわうりやう
)
の世界も、忽ち
春霞
(
しゆんか
)
藹々
(
あい/\
)
たる和楽の天地に化する
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
層々相重なる幾つかの三角形から成り立つような山々は、それぞれの角度をもって、剣ヶ峰を絶頂とする一大
巌頭
(
がんとう
)
にまで盛り上がっている。隠れたところにあるその孤立。その静寂。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかしとうとう非常に静かになって、ただ以前の山のように高い大波があり、陸地の所々に角立った
巌頭
(
がんとう
)
が露出している。彼女が海上を眺むれば、ただ幾つもの山が奔り流れつつ波間に旋転している。
不周山
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
私は舟より
上
(
あが
)
って、とある
巌頭
(
がんとう
)
に
攀
(
よ
)
じのぼった。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
それも充分知っての上の正成とすれば、大言には似るが、あえて自分を
巌頭
(
がんとう
)
に立たせるためにも、このくらいなことはいったかもわからない。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
趣味の何物たるをも心得ぬ
下司下郎
(
げすげろう
)
の、わが
卑
(
いや
)
しき心根に比較して
他
(
た
)
を
賤
(
いや
)
しむに至っては許しがたい。昔し
巌頭
(
がんとう
)
の
吟
(
ぎん
)
を
遺
(
のこ
)
して、五十丈の
飛瀑
(
ひばく
)
を直下して
急湍
(
きゅうたん
)
に
赴
(
おもむ
)
いた青年がある。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
前号でお別れしてから横断旅行の一隊は、炎天に照り付けられ、豪雨に洗われて、その
行
(
こう
)
を続けた。峠を越すこと四、人跡絶せる深山に分け入り、峡谷の
巌頭
(
がんとう
)
を
攀
(
よ
)
じてついた日本海沿岸に出た。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
わがこの
恐
(
おそ
)
れるところの死なるものは、そもそも何であるか、その本質はいかん、生死
巌頭
(
がんとう
)
に立って、おかしいぞ、はてな、おかしい、はて、これはいかん、あいた、いた、いた、いた、いた
楢ノ木大学士の野宿
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
よろ
這
(
ぼ
)
うて、一つの
巌頭
(
がんとう
)
へ取ッついた。そして、下をのぞいたが——そのとき、かなたの岸から、石切り男の一群が、瀬の岩から岩を跳び渡って来るのが見えた。盛遠は、パッと、すぐ逃げた。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つまりは彼として身を
巌頭
(
がんとう
)
においたもので、強いて盲目な勇に自己を駆るべくむしろ孤独を必要としたのだろう。淵辺伊賀守義博という四十男は、こうして大塔ノ宮刺殺の腹じたくをまずは作った。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“巌頭”の意味
《名詞》
岩の上または突端。
(出典:Wiktionary)
巌
漢検準1級
部首:⼭
20画
頭
常用漢字
小2
部首:⾴
16画
“巌”で始まる語句
巌
巌丈
巌窟
巌角
巌乗
巌石
巌畳
巌谷小波
巌穴
巌山